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第4話

第4話
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2021/07/29 11:56
「ふわぁ……」

私は、まだ開ききらない目を擦りながら、駅までの道を歩いていた。





………ねむい。

昨日、菅原先輩に家まで送ってもらって。
私が家に入ってすぐに、先輩からLINEが来た。







「今日はバレー部の見学してくれてありがとう!
もしも暇だったらまた見に来てね!
待ってる」



つい頬がゆるんでしまって。


「きゃーっ」なんて言いながらベッドの上でバタバタと足を動かす。






今の顔は絶対に家族に見られちゃだめだな。
絶対そうだ。


きっと、にやけ切ってしまってる。







先輩からのLINEの、最後の1文。



「待ってる」




それがどうにも嬉しくて。


昨日は眠れなかったのだ。






「ねむい………」


寝ぼけながら足を動かしていると、
もう駅が見えてくる。









そのまま電車に乗り込むと、私は出入口に1番近い座席へ座る。







そのまま目を瞑って電車のガタン、ガタン……といリズムに耳を傾けて………。




ゆっくりと、意識を手放した。



























「…………ちゃん、……………そらちゃん」

「…………ん、」




誰かの声が聞こえて、ゆっくりと目を開ける。


目の前に、人影。


その輪郭がゆっくりとはっきりしていって…。






「す、がわらせんぱい……?」



「ん、おはよ」






そこには、にっこりと優しく笑う菅原先輩が立っていた。





「よく寝てたね」

先輩がにこにこしながらいう。







!?

寝顔、見られた?



「電車乗ったらあなたちゃん寝てるし、びっくりしたよ」



同じ電車だったんだね、なんて先輩が言う。

そっか、やっぱり先輩は気づいてなかったのかぁ、






実は、私は先輩の名前は知らなかったけれど、先輩の姿は何度か見た事があった。




部活動紹介のとき。
澤村先輩と一緒に壇上に立って、新入生に演説をするとき。


廊下ですれ違うとき。

同じ電車に乗っているとき。







「わたしは」



わたしは、と口の中でもう一度呟く。


なんだか少し寂しくて、拗ねたような口調になってしまう。

なんて子供なんだろう…







「ん?」

先輩が首をかしげる。




かわいいな、そんな失礼なことを思ってしまう。



「私は、しってましたよ。
先輩が同じ電車乗ってるの………」





「…………そっかぁ」



にっこり、先輩がわらう。


太陽みたいな笑顔。






あぁ、暖かい人だなぁ。


そのまま、私たちは一緒に学校へ登校した。

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