第2話

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2021/04/05 16:35




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「ここでいいのかな」


そう言って、先輩は資料室に入ってすぐの机にプリントを置く。


「たぶん?」

そう言って、私も先輩の置いたプリントの上にプリントを乗せる。




これで、もう先輩と話すことは無いのかな、


よろしくって、言ったのにな……。

そんなことを考えて、ちょっと寂しくなっていると。



「あなたちゃん」

「え?」


名前を呼ばれて振り向くと、あの笑顔の先輩がいて。

「俺さ、バレー部なんだけど
バレー部見にこない?」





そう言って、先輩は体育館の方を指さした。



*

*





キュッ、バシン!



バッシュの擦れる音、ボールを打つ音。

懐かしい、音。



私は今、バレー部の見学をしている。






先輩に連れられて、来たのは体育館。

横開きの扉を開くと、複数人の男の人たちがいて。




バレー部だから、もっと怖いイメージだったんだけど……。



意外と小さい子もいて、ちょっと安心。


「お、菅〜。遅いぞー」

こっちを見て、一際身体の大きな人が先輩を呼ぶ。



菅。
そう呼ばれてるのかな。


「ごめん、ちょっと手伝いしててさ〜」


菅原先輩が応えると、身体の大きな先輩の視線は私に移る。

「ん?この子は?」

「あー、俺が連れてきちゃった。
見学してもらっててもいい?」

菅原先輩が聞くと、身体の大きな先輩は

「おー、いいぞー。
ボールには気をつけてな笑」



そういって、悪戯っぽく私に笑いかけてくれる。


良かった、優しい人みたい。



「俺は澤村大地。よろしくな」

自己紹介をされて、私も慌てて名乗る。



「あっ、1年のあなたです。よろしくお願いします」


「えっ」

澤村先輩が声を上げる。

「え?」

どうして驚かれたのかわからなくて、困惑してしまう。




「あの……?」
「君が、あのあなたさんか笑」




にやにやと笑いながら菅原先輩を見る。



なんで菅原先輩を?

「大地! そんな顔で見るな!笑」



ちょっと焦ったように、菅原先輩が言う。


なんなんだろう。
そう思いつつも、私も笑ってしまっていた。




*

*




そして、今に至る。

どうやら、澤村先輩はキャプテンのようで。





菅原先輩はセッターみたい。


中でも目を引くのは、マネージャーの先輩。
潔子先輩って言うみたい。



すごく綺麗な人で、同性の私も思わず見とれてしまう。

ぼーっと潔子先輩を見ていると、
目が合って。

「わっ」


急いで目をそらす。



そして、もう一度先輩を見ると。こっちに近づいてきていた。


「えっ」


びっくりして潔子先輩を見つめていると。


「ふふ、見学?」

そう声をかけられた。



「あ、はいっ、見学させてもらってます」

「そんなにかしこまらないで?笑
私は、3年の清水潔子。よろしくね」

そういって手を差し出してくれる。

その手を握って、


「あ、私は………」


そう言おうとすると、


「あ、あなたちゃんよね笑
よく名前を聞くのよ」


「そうなんですね、笑
菅原先輩にも言われました笑」



そう言って笑うと、
潔子先輩は菅原先輩をみて悪戯っぽく笑う。



「?」

どうして皆、私の名前を聞いた途端に菅原先輩を見るんだろう……。





「あ、そういえば」


潔子先輩がバレーコートを見ながら言う。





「みんなに挨拶はしてもらった?」

「あ、いえ、澤村先輩と菅原先輩だけです」



そう言うと、先輩は澤村先輩を呼んで。

何かを話すと、潔子先輩は首にかかっていた笛を鳴らす。

ピーーーッ!



笛の音が体育館に響き渡る。

それと同時に、
「集合ーーっ」
という澤村先輩の声もあげられて。


「はいっ」

皆が返事をして集まってくる。




………ここに。




ばたばたばたばたっ、と足音が近づいてきて、私と潔子先輩の前に並ぶ。



「みんな聞いてー」

澤村先輩が前に出て、潔子先輩の隣に並ぶ。



「今日見学するあなたさんだ。挨拶しろー」



澤村先輩が言うと、右から順に挨拶をしていく。


1番右には、菅原先輩。
「俺は菅原孝支。さっきも言ったけどね笑
よろしくね」


その隣には、澤村先輩よりも更に体の大きな先輩が。

「俺は東峰旭。3年だよ。よろしく」

そんな東峰先輩の肩を軽くどついて、菅原先輩が言う。

「こいつ、こんな見た目だけど優しいから笑」



肩をさする東峰先輩は、確かに優しそうだった。


その隣には、小さい人。
髪の1部が金色で、かき上げヘアー。

「俺は西谷夕。俺はリベロだ!!守備の要でチームの要だ!!よろしくな!」

なんともエネルギッシュな人だった。



その隣は知っている人。
同じクラスの人。

「俺は日向翔陽!同じクラスだよな!
よろしくな、あなた!」


その隣にも知っている人。
1年生の中での有名人だ。

「俺は影山飛雄。よろしくな」


その隣は、一見野球少年に見える人だった。

「俺は田中龍之介!よろしくな!」


*

*




挨拶が終わると、皆はまた練習に戻っていった。




皆が夢中でボールを打つ姿に見とれていると。


バシン!

ボールを打つ音が聞こえて。

「危ない!!」

「え」




ボールが。
私目掛けて飛んで来ていた。




ぶつかる…………!!

怖くて、ぎゅっと目を瞑る。




バシン!

ボールのぶつかる音が聞こえて。












え、


痛くない。




そーっと目を開けると。



目の前いっぱいにユニフォームが見えて。


2番……。







「大丈夫!?あなたちゃん!」



私を守ってくれた人は、すぐに振り返って。

私の肩を掴む。





「わ」



びっくりして、至近距離の菅原先輩と見つめあってしまう。



「大丈夫、です……」

「ほんと? よかったぁ……」





そうやって脱力した先輩は、



「わっ!ごめん!」


はっと我に返ったように私から離れた。






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