第3話

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2021/01/09 16:26





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「ありがとうございました!」


もうすっかり暗くなった頃。
バレー部の練習が終わって。




皆が更衣室に移動する中、私はどうしたらいいのか、うろうろしてしまう。








………待っていた方がいいのかな、

それも変?



先に帰るものなの?





そんな感じで困っていると、
更衣室に移動しようとしていた菅原先輩が私に話しかけてくれた。



「あなたちゃん、ちょっと待っててもらえるかな。
もう暗いし、送るよ」



「え、や、そんな……悪いです」


「いーのいーの。俺が誘ったんだし」







そう言って、先輩は更衣室に入っていく。



………送ってもらうなんて、初めて。


胸がドキドキと高鳴っていた。








*



「あなたちゃん、ごめんね、待たせて」


そう言って、制服に着替えた菅原先輩が私に手を振る。





「あ、いえ、全然……」


「じゃあ、行こっか」

そう言って、先輩が歩き出す。






菅原先輩と歩く帰り道は、何だかいつもと違って見えて。


余計に緊張してしまう。








……どうしよう、何話そう。

「あの、先輩」

「ん?」



とりあえず話しかけてしまった。

えっと………。




「………バレー部、楽しそうですね」

なんて、当たり障りのないことを言ってしまう。




それを聞いた先輩は少し笑って、

「良かったらさ、また見においでよ」








ずるいなぁ、その笑顔は。


こくんと頷いて、それきりまた会話は途絶える。





ピロリン。


私のスマホがメールを受信した。

急いでスマホを確認すると、潔子先輩からだった。




『今日はありがとう、仕事手伝ってくれて。
良かったらまた遊びに来てね』


菅原先輩の着替えが終わるのを待っている間、私は清子先輩とLINEを交換していた。





先輩との初LINEに少し頬を緩ませていると。


「清水さんから?」

そう言って、菅原先輩が私のスマホを覗き込む。





いきなりの接近に、心臓が跳ね上がる。


「へー、LINE交換したんだ」


……声がどこか不機嫌そうなのは気の所為?






「先輩を、待ってる時に」

そう答えると、先輩は


「じゃあさ」



と言ってスマホを取りだす。



「俺とも交換してよ」



「へ」


予想外の提案に間抜けな声が出てしまう。




「だめ?」

そう言って、私の顔を覗き込むように見てくる。



途端に顔が赤くなって。



「だめじゃ、ないです」




そういうのが精一杯で。


「やった!」




そう言って笑う先輩の顔が、当分頭から離れなさそうだ。

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