第7話

お姫サマと、苺の国。
14,425
2020/02/22 14:43
馬車に揺られて、ガタンゴトン。
既に周りにはイチゴ畑が広がっており、延々と赤い果実を実らせている。
あなた

あのぅ…

莉犬くん
莉犬くん
ん?
一番小柄で人懐っこそうな…多分第六王子に問いかける。
あなた

お城までは、あとどれ位ですか?

莉犬くん
莉犬くん
んーと、あと五分かなぁ
ころん
ころん
今絶対莉犬くん適当に
言ったじゃんwww
ジェル
ジェル
それなw
絶対に適当やんか~
あれ。なんか、華の国の城にいる時よりも…気さくな感じがするんだけど。
例えば、私が村人の格好をしている時の村人達みたいな。
ジェル
ジェル
意外と普通なんだな、
って思ったやろ?
あなた

え、なんでわかるのです?

ジェル
ジェル
顔がそう言ってんでw
ケラケラと笑う。
親しみやすさと「王子らしくない」その態度に少しだけ驚いた。
ななもり。
ななもり。
ほら、ついたよ
昨日の件からは想像すら出来ないくらいの、優しい声で言われた。私がその方向を見やると、ステンドグラスがとても綺麗なお城が建っていた。
あなた

わぁ…ここでございましょうか

さとみ
さとみ
そうだよ。綺麗だよね
自分たちでも綺麗だと思うもんと付け足す。
執事に手を取られたので、少しずつゆっくりと馬車から降りた。
今思えばこの馬車を引く馬も白馬で、丁寧に扱われていることが伺える。

警戒してたけど、意外と平気で大丈夫…なのかもしれないな…
城の大門が開き、中に足を踏み入れる。
ころん
ころん
ねぇ、ヒメって呼んでもいい?
あなた

少し堅苦しい気がするのですが、
それで良ければどうぞ?

莉犬くん
莉犬くん
俺はその敬語の方が堅苦しい
と思っちゃうんだけどな~?
私の両隣にいるのはころん王子と莉犬王子。
何故か挟まれているという状況だ。
ころん
ころん
ね、敬語やめよーよ!
莉犬くん
莉犬くん
あと、ヒメって呼ぶのが嫌なら
言ってね?あなたって呼ぶからさ
あなた

は、はい…

なんやかんやあって、「ヒメ」と呼ばれる事になり、敬語も取り除かれました。
※基本はヒメで、ちゃんとあなた呼びに戻すこともありますよ!!
るぅと
るぅと
ここがあなたの部屋です。
苺の国一の腕の職人に頼んで
リフォームしたんですよ★
あなた

わざわざごめんなさい。
ありがとうございます!

るぅと
るぅと
僕にも敬語は?
あなた

なし…ですね←

るぅと
るぅと
ほら敬語使う~
むすっとした顔で私を見る。
なんだか少し、愛らしくて…クスッと笑ってしまった。それを見てさらに不機嫌に。
るぅと
るぅと
敬語なし!
ヒメ呼びは照れくさいから
あなたって呼びますけどね?
あなた

ま、まぁそれはいいd…イイヨ

るぅと
るぅと
カタコトですよ…w
とりあえず荷物を運んでもらって、整理することにした。
るぅと王子が何処かに去っていった頃。
さとみ
さとみ
はかどってる~?
あなた

あ、さとみ王子殿

さとみ
さとみ
さとみくんとかでいいよ
あなた

はい

わざわざ、重い物を運ぶのを手伝いにきて
くれた。優しい殿方だなぁ…
さとみ
さとみ
晩餐の時にはまた呼ぶから!
あなた

ありがとうござi…ありがとう

敬語癖はしばらく治らなそうだな…そんな事を考えながら、部屋の片付けをすすめた。
ジェル
ジェル
明日、村の偵察に行くんやけど
一緒に来ぉへん??
あなた

えっ、行ってもよろしくて?
…じゃなくて、行ってもいいの?

華の国にいる時は、偵察は女の仕事じゃないと父上にキツく言われていたのだ。
ジェル
ジェル
逆に、なんでダメなん?
そのうち、自分と俺らの中の
誰かで治める国なんやで?
しっかり見とかんとアカンで~
妙になまっているが、その言葉たちには凄く説得力があった。
あなた

じゃあ、行かせてもらおう。
着替えるものとかは…

ジェル
ジェル
メイドさんに持ってかせるで
あなた

ありがとう。
そうさせてもらう

まぁ説明は不要だな←
あっという間に夜になってしまった。
なんだか今日は、一日中がせかせかと動いていたような気がする。
メイドさん
姫君、晩餐の時間でございます
あなた

わかりました。
支度をしますね

ドレスを少し着替え、髪の毛を整え直す。
ついでに華の国特産の香水を身にまとって…終わり。
あなた

では、今そちらに向かいます

ドアを開け、食堂へと向かった。

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