馬車に揺られて、ガタンゴトン。
既に周りにはイチゴ畑が広がっており、延々と赤い果実を実らせている。
一番小柄で人懐っこそうな…多分第六王子に問いかける。
あれ。なんか、華の国の城にいる時よりも…気さくな感じがするんだけど。
例えば、私が村人の格好をしている時の村人達みたいな。
ケラケラと笑う。
親しみやすさと「王子らしくない」その態度に少しだけ驚いた。
昨日の件からは想像すら出来ないくらいの、優しい声で言われた。私がその方向を見やると、ステンドグラスがとても綺麗なお城が建っていた。
自分たちでも綺麗だと思うもんと付け足す。
執事に手を取られたので、少しずつゆっくりと馬車から降りた。
今思えばこの馬車を引く馬も白馬で、丁寧に扱われていることが伺える。
警戒してたけど、意外と平気で大丈夫…なのかもしれないな…
城の大門が開き、中に足を踏み入れる。
私の両隣にいるのはころん王子と莉犬王子。
何故か挟まれているという状況だ。
なんやかんやあって、「ヒメ」と呼ばれる事になり、敬語も取り除かれました。
※基本はヒメで、ちゃんとあなた呼びに戻すこともありますよ!!
むすっとした顔で私を見る。
なんだか少し、愛らしくて…クスッと笑ってしまった。それを見てさらに不機嫌に。
とりあえず荷物を運んでもらって、整理することにした。
るぅと王子が何処かに去っていった頃。
わざわざ、重い物を運ぶのを手伝いにきて
くれた。優しい殿方だなぁ…
敬語癖はしばらく治らなそうだな…そんな事を考えながら、部屋の片付けをすすめた。
華の国にいる時は、偵察は女の仕事じゃないと父上にキツく言われていたのだ。
妙になまっているが、その言葉たちには凄く説得力があった。
まぁ説明は不要だな←
あっという間に夜になってしまった。
なんだか今日は、一日中がせかせかと動いていたような気がする。
ドレスを少し着替え、髪の毛を整え直す。
ついでに華の国特産の香水を身にまとって…終わり。
ドアを開け、食堂へと向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。