くらり。
視界が傾き、この前と同じような痺れを感じた。

ニヤッところん王子が笑う。
私は椅子からずり落ち、ドサリと床に倒れた。ヒョイッと誰かに持ち上げられる。

…るぅと王子かな？

意識がぼんやりしてきた…
なんだか甘い香りが口の中を満たしている。とてつもない眠気に逆らえず、ゆっくりと目を閉じた。

そんな会話を聞きながら。

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目を開けた…はずなのに、何も見えない。
目隠し…されてるんだな、多分。
そしてそこで、ようやく自分が横になっていることに気がついた。恐らくここはベッド。
あれ？誰かに運んでもらったのか？

目隠しを外そうとしても、とれない。
すると、少し離れたところで声が聞こえた。

るぅと王子か。

ころん王子もいるようで、比較的近くで
ムスッとした声がする。

なんとなくはわかる。
王子殿達が代わる代わる訪問してくれた後に図書室を訪れ、インキュバスについての本を読んだ。インキュバスは主に体液を好むらしい。血でも、涙でも…まぁ、あまり言いたくはないものもある。

キスってそんな簡単なものなの！？
え！？え！？(混乱状態)

声音がいつものヤギな感じじゃない…スっとした、でも色気のある声だ。
思わずゾクリと背を何かが走った。

両手を押さえられ、口に舌をねじ込まれた。目隠しされているので、不意すぎて防御出来なかった。

ななもり王子と同じく、舌を追うように口の中で暴れ回る。口の端から唾液が伝う感触がして、少し変な気持ちになった。

今度はるぅと王子がムスッとした声を出す。
両手が自由になったかと思えば、また両手を掴まれ、今度は上に束ねられた。

返事をする間を与えず、るぅと王子…じゃなくてるぅとは、｢口を開いてください！｣と言ってきた。
抗っても仕方ないし、自分がいいと言ったものなので抵抗はしない。といってもパカッと開けるのもなんかなぁ…と思うので、控えめに薄く開ける。

しかし意外と強引で…まず唇を挟むようにキスをすると、口の中に唇をいれてきた。そこまでは同じだった…しかし、そこからが問題だった。

舌を唇で挟み、ちぅ、と吸ったのだ。舌先と舌先が触れ合い、吸われ、私は限界寸前だった。僅かに涙が出てきた。少しビクッと反応してしまう自分が憎らしい。



そのあと脱力して立てなくなった私を送ってくれたのは、ころん王子だった。

ころん王子が私を抱き抱えて部屋に向かいながら、嫉妬するようにこう言っていた。