第12話

お姫サマと城下町探索。
8,318
2021/01/11 09:37
ポカポカと暖かい日差し。
私は街に出るための動きやすいドレスに着替え、一人で目を輝かせていた。
ジェル
ジェル
目ぇめっちゃキラキラしてんでw
あなた

だってっ…前の華の国ではそういうのはダメって言われてたから…

ジェル
ジェル
そうなんやな。俺はそういうの気にしないんやけどな…ま、今日は楽しも!
あなた

うんっ!

動きやすい服装とブーツは、元の国から持ってきた物だ。キラキラしたアクセサリーも全部全部外している。

豪奢でない馬車に乗って城下町に向かうと、そこは人で溢れかえっていた。
ふわっと香るのはパン屋さんのパンの焼ける匂いや、花屋さんの綺麗な花の匂い。花を見つめていたら、「買うか?」とジェルくんに聞かれてしまった。
あなた

しっかり整備されているな…

ジェル
ジェル
やろ?
しっかり四角に切られた石が敷き詰められ、家や店も綺麗に整っている。馬車がガラガラと通っていっても、農家のおじさまが荷車を押していっても、崩れる様子がない。
華の国も綺麗な方だったが、城下町は少し物が脆かったりした。
ジェル
ジェル
この石はライネル石つってな、沢山取れるから高価じゃないけど強度は鉱石の中でも上位やで!
あなた

おお…ジェルくんは色んなことを知ってるんだね。

ジェル
ジェル
そんくらい知らないと国を治める身にはなれへんでw?
頭をコツコツと人差し指で叩く。
パチッとウィンクして、悪戯っぽく笑った。
あなた

私はライネル石なんて石、知らなかった…

ジェル
ジェル
まぁそうやんな。
華の国は「政治は男に任せろ。女は教養はいるけども家事をやっていればいい」って感じやもんな〜…
腕を組んで、うーんと考え込む。

その後も色々見て回りながら話をした。
一番人気は末っ子の莉犬くんといえど、やはり王子たちは老若男女に人気らしい。誰もが笑顔で挨拶をしてくる。
やはりその姿勢が素晴らしいというものだ…


大満足の一日だった。やはり苺の国はいい国だ…
ジェル
ジェル
どうやった?
私の顔を覗き込む。
緑色の綺麗な目が私のことをじっと見据えた。
色々考えたことや感じたことをひと通り話したあと、にこっと笑いかけて付け加えた。
あなた

凄く、楽しかったよ

少し驚いたように目を大きくさせたが、嬉しそうに笑った。
ジェル
ジェル
良かった。ヒメ、なんか気張ってるみたいで苦しそうやったから…
ハッとした。
もしかして城下町探索はもっとあとの予定だったんじゃないだろうか。
恐る恐るジェルくんを見やると、肩をすくめてとぼけられしまった。
ジェル
ジェル
さ、もう夕方。湯浴みの時間やで?お姫様。
あなた

あらあら…貴方は王子様でしょう?

ジェルくんの喋り方を真似ておどける。
あははっと快活に笑う横顔は人懐っこさが滲み出ていた。

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