第9話

お姫サマと、苺の王子の秘密。
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2020/04/20 07:45
ななもり。
ななもり。
どうかな、美味しい?
あなた

ええ。
とても美味しいです

ななもり。
ななもり。
…敬語?
あなた

あっ

むすっとした顔で私を見たが、すぐに笑って好きな方を選びなよと言われた。
莉犬くん
莉犬くん
このあとちゃんと説明するんだよね、なーくん??
ななもり。
ななもり。
もちろん。
るぅと
るぅと
言っておかないと
マズいですよねぇ
なんのことだろう。
さっぱり話についていけないのだが、さとみ王子やころん王子やジェル王子もウンウンと頷いている。
ころん
ころん
ヒメ…聞きづらいんだけどさ、なーくんに襲われたでしょ?
あなた

え、あ…うん

あのことだろうか。
走馬灯のように一気に思い出し顔が熱くなるのを感じる。
それを抑えるように、私はグラスに注がれた炭酸飲料をクイッと飲んだ。
ジェル
ジェル
もうハッキリ言った方が
ええやろ。俺たちな、実は
インキュバスなんよ。
あなた

イッ…!?

目の前にいるのが、インキュバス!?
インキュバスは別名淫魔とも言う。そんなのが私なんかになんで??
さとみ
さとみ
あんま驚かないでね。でね、
ヒメはもう逃げることは
出来ないんだ。俺達が契りの
契約をかわしちゃったから…
あなた

契りの契約…?

るぅと
るぅと
そうです。
淫魔は体液などを好みます。
普通に人間の食べるものを食す淫魔は珍しく、基本的には人を捕らえて食しているのですが…
莉犬くん
莉犬くん
とある方法で、特定の人間を
自分のモノにできるんだ…
頭がついていかない。
でも一つだけ分かることがある…
あなた

貴方達は特殊なタイプなんだな

ななもり。
ななもり。
そうだよ。普通の低級な淫魔はその人間を喰らいつくす勢いになるけど、俺たちはそんなことはしない。
でも生きるために三日に一度は摂取しないといけないんだ…悲しそうに笑った。
ころん
ころん
だからヒメに手伝って欲しいんだけど…既にしてるから。
あなた

え?

ジェル
ジェル
キスやで、キ・ス
んべっ、と舌を出して指さすジェル王子。
私はまたかぁぁっと顔が熱くなるのを感じ、とりあえず髪をかきあげた。
さとみ
さとみ
ま、俺たちから離れられないよ
そう笑う顔に、昨日の夜のななもり王子の顔がゆっくりと重なる。

“もう俺たちから離れられない”

それは、そういう意味だったのか。
るぅと
るぅと
…協力、してくれますか?
私はとりあえず考えたが…やめた。
考えるのは好きじゃないしこういうワクワクした感じの生活も悪くないと思ったからだ。
あなた

あぁ。というか、離れたら
死ぬとかそんな所でしょう?

ななもり。
ななもり。
うーん。そうかもね
俺たちやった事ないし、と言う。
…なんかちょっと不安なんだけど。



私はカラフルなマカロンを口に放り込んだ。甘い物は大好きだし食べることも結構好き。

サクリとした食感の後にふわっと香るチョコの香りが良い。

しかし私は、このマカロンを食べたことを後に後悔することになる…

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