むすっとした顔で私を見たが、すぐに笑って好きな方を選びなよと言われた。
なんのことだろう。
さっぱり話についていけないのだが、さとみ王子やころん王子やジェル王子もウンウンと頷いている。
あのことだろうか。
走馬灯のように一気に思い出し顔が熱くなるのを感じる。
それを抑えるように、私はグラスに注がれた炭酸飲料をクイッと飲んだ。
目の前にいるのが、インキュバス!?
インキュバスは別名淫魔とも言う。そんなのが私なんかになんで??
頭がついていかない。
でも一つだけ分かることがある…
でも生きるために三日に一度は摂取しないといけないんだ…悲しそうに笑った。
んべっ、と舌を出して指さすジェル王子。
私はまたかぁぁっと顔が熱くなるのを感じ、とりあえず髪をかきあげた。
そう笑う顔に、昨日の夜のななもり王子の顔がゆっくりと重なる。
“もう俺たちから離れられない”
それは、そういう意味だったのか。
私はとりあえず考えたが…やめた。
考えるのは好きじゃないしこういうワクワクした感じの生活も悪くないと思ったからだ。
俺たちやった事ないし、と言う。
…なんかちょっと不安なんだけど。
私はカラフルなマカロンを口に放り込んだ。甘い物は大好きだし食べることも結構好き。
サクリとした食感の後にふわっと香るチョコの香りが良い。
しかし私は、このマカロンを食べたことを後に後悔することになる…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。