今でも不思議に思う。
なんで私なんかを好きになったのかって...
きっと、彼は最初から私に気づいてたんだ。
だから素っ気なくて、ずっと目も
合わせてくれなかったのだろう。
それを理解すると余計気まずさが増す。
告白を断ったあと、彼は別の学校に
転校していった。
でも、今はここにいる。
...ってことは、
変な気を効かせた友達が有岡くんに
私を送ってくよう頼んでいる。
┄┄┄┄ガシッ。
口角をキュッとあげた有岡くんは
急に私の腕を掴んできた。
綺麗な指に大きな手。
掴まれたところが熱をもつ。
そう別れを告げると足早に進み始めた有岡くん。
腕を掴まれているからついていくのに必死で
ずんずん進んでく彼に何か普通じゃないと悟るけど、その理由が分かるほど、私は勘が良くない。
するとゆっくり立ち止まり、
私の腕を握っていた手を緩めた。
目を泳がせて焦っている様子。
いつも偽りのない無邪気な笑顔で、
私の心をドキドキさせる彼なのに
頭をポリポリかきながら、言いずらそうにしていた。
優しい性格が言いたい事も言えなく
させてるんじゃないかって、
有岡くんの言葉に耳を傾ければ
彼の口から山田くんの名前が出てきた事に
どうしてなのか疑問が消えない。
なんでそんな苦しそうな顔で聞いてくるのか。
それに対して、私の心臓もドクドク動きが
うるさくなるだけで...
いつもの笑顔に戻ると何事も
無かったように歩き始める。
.....そんなのずるいって。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。