第37話

彼の優しさ
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2018/08/18 13:41


今からでもって·····どういう意味で
言ったのだろうか。




山田くんの気持ちにちゃんと答えを
出せなかった自分が、今更無責任に
彼を受け入れるなんて




もしも本当に山田くんを好きになって
いたとしても、そんな身勝手な事なんて
できなかったはずだ。

あなた
どういうこと?


本当に分からなくて衰弱してる彼に
容赦なく聞いてしまう。




ほんと、許してくれ···その一言に尽きる。

大貴
そん時のことも含めて今ちゃんと
伝えればッゴホッゴホッ··分かってくれる
気がするッ····ゴホッゴホッゴホッ


今からでも、本当に遅くないのだろうか。




有岡くんの出した答えにやっぱり
山田くんとちゃんと向き合おう...



そう思えたけど...
あなた
ね、ねぇ大丈夫っ?
大貴
ゴホッ·····う"ん、ッ


有岡くんを無理に喋らせてしまったのだろう。




電話をかけ始めた頃に比べて、
ものすごく咳が酷くなっていた。
あなた
無理させてごめんね?聞いてくれて
本当にありがとう...
ちゃんと伝えてみるね
大貴
ゴホッ·····ゴホッゴホッ····おう、ッ


呼吸もしんどそうなのに、喋ろうと
頑張ってるのが電話越しに伝わってきて
大貴
ゴホッ····あ"とさッ
あなた
え?な、なに?


喉痛いだろうから一度で聞き取って
あげよう、と変な気が回ってしまう。




耳を澄ませて彼の言葉を待っていると
大貴
あ"したッ·····会える?ッ
あなた
えっ·····明日?


幸いにもちゃんと聞き取れたのはいいけど、
明日は有岡くんのバイトがない日。




そして翔ちゃんのお迎えもない····
大貴
放課後·····ッ 会いたいっ


最後の方は声が戻ってきたのか
元の声になりつつあって
あなた
えっ·····でもまだ風邪治ってないよね?
大貴
大丈夫ッ····風邪移んないように
マスクするからッ····ゴホッ


いや、風邪を移される心配なんて
これっぽちもしていないのだが。
あなた
そうじゃなくてっ、有岡くん
しんどそうだし風邪治ってからの方が··


なのに君は言うことを聞かない。
大貴
大丈夫ッ!、今日中に治すっ···予定
あなた
ごめん、無理だと思うんだけど


彼のちょっと抜けてるところは
こういう時に愛おしさを感じさせるのだ。

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