第35話

変わらぬ雰囲気
1,011
2018/08/17 22:25
大貴
いや待って待って...ッ
ほんと大丈夫だから!


そんな彼の言葉に変なため息が出るばかり...

あなた
無理しないでよ、後で掛け直すから


こちら側が機会を作らないと、きっと
有岡くんは永遠とこっちに合わせてくれる気がした。




これはちゃんと休んでもらわなきゃ、
大事な話も何も出来やしない。




·····なのに君ったら、

大貴
待て待てっ切んなって!!
あなたちゃんの声聞きたかったんだって!


潰れた声でそんな必死に言われたら、
私の心臓もおかしくなりそうだ。





有岡くんはサラッと飛んでもない
爆弾を落としたのだ。




何、どさくさに声聞きたいなんて
言っちゃってんのッ?この人...




変に期待させないでほしい...




何もかも読めない今現在のこの状況で..

大貴
少しでいいから喋りたい


そんなシンプルな言葉で私は
簡単に迷ってしまう。




ほんと単純で嫌になる。




こんなんで私は大丈夫なのだろうか...

あなた
····じゃあ、少しだけ····でもっ、
キツくなったら遠慮なく言ってね?


そんな気遣いをこっちがしても彼は
全く気づかないと思うけど...

大貴
うんッゴホッありがとうッ···


今日はいいかなって。




だってこんなに弱っていても、
有岡くんは有岡くんなのだ。




変わらぬ雰囲気に安心してしまう。

あなた
話したい事あったの...あと、相談?でも
今の状況じゃ無理な気がするんだけど


最後の最後に伺ってみた。




今なら彼を休ませられるって...

大貴
いや、大丈夫だからッ 言っていいよ?


でも無駄だった。




声でも心を許しちゃうこの感じ...
本当にずるい。

あなた
いや、でも····
大貴
俺が聞きたい!


まっすぐな言葉に胸は変な音を
たててばっかりだ。

あなた
うん····あのね?、まず


話したい事がまとまらなくてどれから
口を付けていいのか分からない。




まずは誤解を解かなくては。

プリ小説オーディオドラマ