第28話

振った理由
1,027
2018/08/17 11:11


モヤモヤした気持ち悪いのがずっと
胸のところにつっかえている。



一人じゃそれを解決することは出来なくて...




間もなくすると、更衣室からまた1人現れた。





静かに近づいてくるシルエットは、
制服を着た有岡くんとはまた違う感じだ。




その姿を無意識にずっと見ていたのだろうか。

涼介
・・・何?


山田くんに不審な目を向けられていた。



でも、それはしょうがない事で、
私をそうさせたのは山田くんだ。

あなた
有岡くんに何で嘘ついたのっ?
涼介
嘘?


山田くんはフロアの端に位置する
自販機へと足を運んだ。



私は必死に彼のあとを追う。

あなた
私たちっ、付き合ってなかったよね?
涼介
さぁ・・・知らない


もっとちゃんと、的確な言葉が欲しいのに...



知らないって...とても都合のいい言葉である。

あなた
...なんで?...ちゃんと教えてよ
涼介
じゃあ聞くけど、何で俺のこと
振ったんだよ
あなた
え、ッ...それ、は...


まっすぐ見てくるその瞳にジリジリと
私を責めてくるような気がして...



目で逃げては理由を探す。




好きじゃなかった。



そういえば済む話なのに...



クラスは一緒だったがただそれだけ。




喋ることなんて滅多になくて、そんな人から
告白されることなんて思いもしなかった。




...それに、彼はものすごくモテていた。





恋愛に対して執着心のなかった私は、好きか
どうかを考える前に自分の安全を守ったのだ。




嫉妬をされたりなんて面倒な事は避けたかった。



...ただそれだけ。

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