モヤモヤした気持ち悪いのがずっと
胸のところにつっかえている。
一人じゃそれを解決することは出来なくて...
間もなくすると、更衣室からまた1人現れた。
静かに近づいてくるシルエットは、
制服を着た有岡くんとはまた違う感じだ。
その姿を無意識にずっと見ていたのだろうか。
山田くんに不審な目を向けられていた。
でも、それはしょうがない事で、
私をそうさせたのは山田くんだ。
山田くんはフロアの端に位置する
自販機へと足を運んだ。
私は必死に彼のあとを追う。
もっとちゃんと、的確な言葉が欲しいのに...
知らないって...とても都合のいい言葉である。
まっすぐ見てくるその瞳にジリジリと
私を責めてくるような気がして...
目で逃げては理由を探す。
好きじゃなかった。
そういえば済む話なのに...
クラスは一緒だったがただそれだけ。
喋ることなんて滅多になくて、そんな人から
告白されることなんて思いもしなかった。
...それに、彼はものすごくモテていた。
恋愛に対して執着心のなかった私は、好きか
どうかを考える前に自分の安全を守ったのだ。
嫉妬をされたりなんて面倒な事は避けたかった。
...ただそれだけ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。