第25話

避けられる目線
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2018/08/16 22:26


何も悩むことありませんようにって...
今、祈ったばかりなのだが、



彼は不機嫌そうな顔のまま、
私に話しかけてきた。

涼介
俺がここにいちゃダメなわけ?
あなた
い、いや.....


何でも突き刺さるように聞こえてくる。



有岡くんよりももっと話すのに抵抗のあるお方。




昨日は単なる偶然で、もうしばらくは
会うことなんてないだろう...なんて




油断してた自分が馬鹿だったのかもしれない。




スラッとした体型で、子ども達を
静かに見ている山田くん。



やっぱり画になるなぁ、なんて




こんな時でもふと思ってしまうのは
根っからイケメンだからだろう。



横顔が綺麗すぎて、この場所には不釣り合い。



それを目の前に戸惑いを隠しきれなかった。

涼介
弟迎えに来ただけなんだけど?


すると、ボソッと気力のなさそうな声で
彼はそう言ったのだ。

あなた
え、弟?


山田くんの目線の先には、この前有岡くんと
鬼ごっこしていた高学年の男の子。



今日もまた、有岡くんとじゃれ合っていた。

あなた
え、あの子、山田くんの弟だったの!?
涼介
あぁ


チラッと私に目を配るとしばらくそのままで...
山田くんの目がずっと自分に向いていた。

あなた
あ、の.....なに?
涼介
別に。


何を考えているのか全然分からない山田くん。
同じ空間にいるのが限界にさえ思えた。

大貴
いってぇなおいっ!ビート板は
叩くもんじゃねぇぞっ!!


遠くから聞こえてくる有岡くんの大きな声...。



子ども達にビート板で叩かれていた。





なんであんな状況になったんだろうか...

男の子2
あっ、この前のお姉ちゃんだ!!


私に気付いてくれたのは山田くんの弟で、
見比べればどことなく似てる感じがした。




いつもなら、いつもの有岡くんなら...



遠くから呼んでくれたり、
手を振ってくれたり、
駆け寄ってくれたり.....




絶対そんな事してくれるのに。






なのに今日はまるで、私の存在に
気付いてないかのようだった。




やっぱり私.....避けられてる?




有岡くんを目で追えばそれを分かってる
かのように全く目が合わない。






ねぇ、どうして?

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