第30話

いつもの自転車置き場
1,047
2018/08/17 13:32


翔ちゃんを迎えに行く...


弟にはとても悪いけど今の私にとって、
それがとても邪魔くさい。




会いたくなくても、会いに行かなきゃ
いけないなんて、何という半強制的感。




でも、逃げてちゃいつまで
経ってもそのまま。





早く何とかしたいと思う気持ちは
勇気に繋がるだろう。





市民プールに辿り着くまでは
何ともないのだ。




中に入るのが難関なのだ。





いつの間にかここへ来ると、
自転車置き場に寄ってしまう自分がいた。




白いマウンテンバイクがあるのを
確認するのが癖になっているのだ。




.....なのに

あなた
・・・あれ・・・ないっ


有岡くんの自転車はそこにはなかった。




あんなに会うことにソワソワしていたのに、
これは予想外だった。



え.....どういう事だろうか。




今日は有岡くんがバイトをしている曜日...




いつもと違うことがちょっとあるだけで
私はもっと混乱してしまうのだ。




もうちょっと冷静に考えたらいいのに...
なんて自分でも思うくらい。




なかなか思考回路が上手く働かない私は、
簡単に足が止まっていた。




これじゃ、幾ら時間があっても無駄だろう。




そう思った時、



涼介
何してんの?


周りに人がいないのに聞き覚えのある
声が背後から急に聞こえてきたのだ。

あなた
うわぁあ!?


素直に驚いてしまった。



後ろを振り返ればやっぱり山田くん。
涼介
可愛くねぇ声だな
あなた
可愛い驚き方なんて知らないよっ


その存在に警戒している私は
どうしてもアタフタしてしまう。




それが彼に見透かされてるのが
嫌で、質問に答えた。

あなた
有岡くんの自転車ないなぁって...
涼介
あぁ


分かりきってる、みたいな感じで
相変わらず素っ気ない返事には
さすがに腹が立ってくる。

涼介
今日、休みだし
あなた
えっ?


そうなのかなぁ、なんて思っといて
いざ確信の言葉が現れるとやっぱり
動揺してしまうもの。

プリ小説オーディオドラマ