翔ちゃんを迎えに行く...
弟にはとても悪いけど今の私にとって、
それがとても邪魔くさい。
会いたくなくても、会いに行かなきゃ
いけないなんて、何という半強制的感。
でも、逃げてちゃいつまで
経ってもそのまま。
早く何とかしたいと思う気持ちは
勇気に繋がるだろう。
市民プールに辿り着くまでは
何ともないのだ。
中に入るのが難関なのだ。
いつの間にかここへ来ると、
自転車置き場に寄ってしまう自分がいた。
白いマウンテンバイクがあるのを
確認するのが癖になっているのだ。
.....なのに
有岡くんの自転車はそこにはなかった。
あんなに会うことにソワソワしていたのに、
これは予想外だった。
え.....どういう事だろうか。
今日は有岡くんがバイトをしている曜日...
いつもと違うことがちょっとあるだけで
私はもっと混乱してしまうのだ。
もうちょっと冷静に考えたらいいのに...
なんて自分でも思うくらい。
なかなか思考回路が上手く働かない私は、
簡単に足が止まっていた。
これじゃ、幾ら時間があっても無駄だろう。
そう思った時、
周りに人がいないのに聞き覚えのある
声が背後から急に聞こえてきたのだ。
素直に驚いてしまった。
後ろを振り返ればやっぱり山田くん。
その存在に警戒している私は
どうしてもアタフタしてしまう。
それが彼に見透かされてるのが
嫌で、質問に答えた。
分かりきってる、みたいな感じで
相変わらず素っ気ない返事には
さすがに腹が立ってくる。
そうなのかなぁ、なんて思っといて
いざ確信の言葉が現れるとやっぱり
動揺してしまうもの。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。