第7話

彼の名前
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2018/08/20 22:46
あなた
あの、名前は
大貴
ん?名前?


さっき彼に聞かれたから自分の名前は
伝えたけど、私は彼の名前を知らない。



分かる情報は、ありおかくんってだけだ。
あなた
私、まだ知らないからさっ
大貴
あぁ!


すっかり忘れてたのか彼は私の目を見て
大貴
有岡大貴です!


そう言った。



へぇ、下の名前、だいきって言うんだ...



頭の中でそう思っていたら
大貴
大きい貴族って書いて大貴だから!笑


彼は自分からそんな事を言ってきたのだ。
あなた
聞いてないんだけど 笑


思わず吹いてしまう



すると有岡くんはつられたように目尻を細くした
あなた
ありおかってみんなから
呼ばれてるんだね 笑
大貴
そうなんだよー、みんな呼び捨てにしてくるからさ、参ったよなー笑


笑いながら、そう言う有岡くんは本当に
心が広い人なんだと思った。



これから何回会うかは分かんないけど、
まぁ、ジャージ返さなきゃだから必ず
もう一回は会うことが条件付けられている。
あなた
じゃあ、またね!


今度こそ彼に別れを告げれば
大貴
暗くなる前にちゃんと帰れよ!あと、
翔くんにありがとうって伝えといてっ!


彼は片手を軽くあげると缶ジュースを飲みながら
スタッフ入り口に入っていった。




時が過ぎていくのに自分は止まったまま、
状況をなかなか掴みきれない。




なんだろう、最後の言葉。



彼はサラッと暗くなる前に帰れよって...
ただそう言っただけなのに。




送ってもらったりするよりも、有岡くんの
言葉の方が優しさを直に感じた。





本当にいい人だなぁって。




たった数時間なのに、翔ちゃんを迎えに
来ただけなのに...




思わぬ所で思わぬ出会いが転がっていた。

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