きっとあの頃は誰に告白をされても
結果は同じだったと思う。
...そう、転校するなんて言われてなかったのだ。
でも、彼は突然に学校から姿を消した。
父親の転勤に、ついて行ったのだ。
山田くんってすごくずるい。
私が何も言い返せないような言葉を
ズバズバ言ってくるんだから。
知らなかった。
未練で募った山田くんの怒りに
やっぱり私は答えられない。
┈┈┈┈┈キーン コーン カーン コーン。
つい最近までは、早く放課後に
ならないかなぁって楽しみで仕方がなかった。
なのに今は...
溜め息が出るほど悩んでいる。
翔ちゃんのお迎えであんなウキウキ
してたのは、紛れなく彼が原因であった。
机に顔を押し付けて窓から空を見る。
一体どうしたら事がうまく進むのか...
早くそれが知りたくているのだけれど、
一つ一つ整理していかないと頭が追いつかない。
まずは山田くんが問題なのだ。
つっかえたまま、何も解決出来ていない。
" 何で俺のこと振ったんだよ "
その言葉を思い出す度、
私は自分自身にも問うようになった。
振って良かったとか悪いとか、
そういうのは極力考えたくない。
...だけど、山田くんが数年経っても
あんなに引きずってるという事は
私の断り方にも何か問題が
あったんじゃないかって。
さすがに告白された時の状況を
事細かく今でも覚えているというのは
とても無理がある。
だけど、部分的に覚えているところは
ちゃんとあるのだ。
私はアッサリ断った。
ごめんなさい、の一言でその場を去ろうとした。
山田くんに待って!って言われたのに...
私はそれも無視してそのまま帰ってきたのだ。
それだけはちゃんと記憶していた。
記憶してるって事は、自分が気づかない
うちに何かを反省していたのだろうか。
もしかしたら、その接し方が彼を
怒らせているのかもしれない。
そもそも本当に怒っているのかさえ怪しい。
山田くんの感情が知りたい。
怒り?
悲しみ?
恨み?
悔やみ?
私と付き合ってた...
わざとそんな嘘を伝えた山田くん。
そしてそれをそう思い込んでいる有岡くん。
2人は私の事は置いてけぼりだ。
そう思うのは私だけで...もしかしたら、
2人を置いていってるのは私なのかもしれない。
山田くんは私の事をどう思っているのだろう。
一つ一つ、解決していこう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。