プールサイドを歩きながら我が弟の可愛い姿を探す。
すぐさまその姿を見つけて手を振れば
満面の笑みで答えてくれる。
ほら、もう、可愛いったら。
私には彼氏がいなくても翔ちゃんがいるから...
とか友達に言ったら痛い目もらったけど。
本当に癒しでしかない。
翔ちゃんの着替えを待って早く一緒に帰ろう。
私は室内のフロアに戻って翔ちゃんを待つ。
今日もそのつもりだったのが...。
┈┈┈┈┈┈ビシャッアアアッ!!
誰かわからないけど若い男の人の声がして
私が鈍臭いって言うのは認めたくなかったんだけど
水を頭から被っていた。
え?なになになになに、どういう事?
誰か説明を頼む。
スイミングスクールの先生が駆け寄ってきて、
今の現状にまだよく分かってないが
一応そう言った。
冷たい水を被ったのは理解したけど、
私はプールに落ちたわけではない。
じゃあ、何が起きたのか...
翔ちゃんと一緒に水泳を習っている同い年くらいの
子達が誰かにそう言いよっていた。
するとその子達に手を引っ張られて
私の元にやってきたその人。
見るからに子どもじゃない...というか、
どちらかと言えば私と同じ高校生くらい。
掃除をしてホースで洗い流していたのだが、
そのホースが私に向いてしまったのだとか。
深々と頭を下げたその人に、周りにいた
子どもたちはまだ許してないよう。
そんな事をブーブー言われてるのに
嫌な顔せず、どちらかと言えば
子どもたちにも低姿勢。
しかも私にもう一度謝ってくれた。
何この人...なんか、すごい良い人そう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。