第28話

Episode 28
3,412
2020/07/02 08:23
蛍 side
俺は彼女の後をすぐに追ったが、もう学校にはいないみたいだった。
きっと、学校から出てすぐタクシーでも拾ったのだろう。
月島蛍
月島蛍
どこいったんだよ…!
日向翔陽
日向翔陽
月島!
彼女ちゃん、タクシー乗ったとこ見たけど、何かあったのか!?
影山飛雄
影山飛雄
日向ボゲェ!!
月島蛍
月島蛍
なんで2人が知ってるの?
日向翔陽
日向翔陽
さっき、窓から見えた
影山飛雄
影山飛雄
足痛そうに引きずってたぞ
日向と王様の話を聞いて、俺は無我夢中で走った。
荷物とか学校に置きっぱなしだけど、そんなことはどうでもいい。
今は彼女のことが最優先だ。
月島蛍
月島蛍
待って!!!
私
蛍…なんでいるの…?
月島蛍
月島蛍
タクシーに乗って帰ったって聞いたから、追いかけてきた
私
でも、学校あるでしょ?
それに、私重いしさ
月島蛍
月島蛍
重くなんかない!
むしろ、もっと迷惑かけてもいいくらいだよ!
私
蛍は優しいね…そんなふうに言ってくれて…
月島蛍
月島蛍
僕は優しい人間なんかじゃない!
お前のおかげで優しくなれたんだ!
僕にしては珍しく、感情を露にしたことに驚いたのか、彼女は目をぱちくりさせている。
でも、そのくらい彼女が大切で、彼女がいなかったら今の優しい僕はいなかった。
私
あのね、蛍
月島蛍
月島蛍
な、何?
私
私たち、別れよっか…
月島蛍
月島蛍
…は?
私
なんてね、別れるつもりないよ
月島蛍
月島蛍
そんなに…僕のこと馬鹿にして楽しい?
私
ごめんね、でも、別れた方がいいかなって思ったの
私は、嫌だけど
月島蛍
月島蛍
僕だって、別れるつもりないから
私
ありがとう…チュッ…
突然重なった彼女の唇は、お互いの涙でほんの少ししょっぱかった。

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