第26話

Episode 26
3,453
2020/06/29 13:38
蛍 side
午後になり、体育の授業を受けるために移動している時ふと、泣きたくなった。
いつもなら、僕の隣で楽しそうに笑っている彼女が今日はいない。
午前中も彼女はいなかったはずなのに、そんなことを考え出してから寂しさばかりが募る。
月島蛍
月島蛍
山口…
山口忠
山口忠
どうしたの…って、ツッキー!?
月島蛍
月島蛍
僕、もう帰る…
先生には具合悪くて早退って言っといて…グスッ…
山口忠
山口忠
わかった!
早く帰って彼女ちゃんのとこに行ってあげな!
月島蛍
月島蛍
ありがとう…グスッ…
泣いていることがバレないように、僕は急いで教室に戻って制服に着替え、彼女の家に向かった。
彼女と付き合い始めてから、こんなにも彼女が愛おしいと感じたことはない。
どんな時だって隣にいて、僕を支えてくれたから気が付かなかった。
僕は彼女のことを言い表せないくらい愛している。
月島蛍
月島蛍
お邪魔します!!
私
え、蛍!?
月島蛍
月島蛍
怒ってる…?
私
怒ってないけど、どうしたの!?
具合悪い!?
月島蛍
月島蛍
違う、一緒にいたかったから
傍にいてあげたかったから…グスッ…
再び溢れ出した涙を拭うことなく流し続けていると、彼女が優しく拭ってくれた。
僕のことをぎゅっと抱きしめて、頭を撫でながらありがとう、と言われて僕は声を上げて泣いた。
自分の情けなさ、不甲斐なさに腹が立った。
だけど、彼女が僕を抱きしめてくれただけで、一気に気持ちが落ち着く。
私
蛍、わざわざ来てくれてありがとね?
月島蛍
月島蛍
急に押しかけてきてごめん
私
全然いいよ?
蛍の顔見れたから!
ほら、こうやってまた僕を喜ばせる。
彼女に叶うことは一生ないんだろうな。

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