次の休み時間、竜樹くんを連れてあの廊下へ行った。
竜樹くんは怖がる様な様子はなく、むしろ喜々とした様子で私達についてきた。
「ここか?」
「嗚呼。怪しい女がいたら教えて欲しい。」
「分かった。」
竜樹くんは早速廊下を歩いて行った。
10秒ほど経つと、くるりと回れ右して戻ってくる。
いくらなんでも早すぎるのではないか?
そう思っていた矢先に、竜樹くんが言った。
「怪しい女とは、あの女か?」
と、誰もいない廊下を指差す。
これはもしかしてもしかすると……
「すごく美人だな…あの女の何が怪しいんだ?」
当たりだ。
竜樹くんには、『天使の死神』が見えているらしい。
私と結昂はハイタッチし、龍弥はガッツポーズをキメた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。