第11話

11話_中二病の男達
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2021/05/12 12:48
4階、西校舎。
くだんの廊下はこの曲がり角の先だ。
結昂は親指で廊下を指さし、
「よし、男子ども。Go。」
なんて言っていて、思わず苦笑してしまう。
その男子達はと言うと…
「ちょ、っと博多、お前行ってきてくれ」

「お、おい押すなって!龍弥ぁ!お前行って来い!」

「お…俺??」

「もう誰でもいいから早く行きなさい!!」
と、お互いに押し付け合っている。
結昂が一喝すると、渋々と言った様子で龍弥が廊下へと歩いた。

少しドキドキしながら、龍弥が廊下の突き当たりにへ行き戻って来るのを待つ。

2、3分後に龍弥が戻ってきた。
龍弥は少し安心した様な顔をして、『誰もいなかった。』と笑った。

そして博多や泗芫くんも、
「誰もいなかったよ。」

「俺も誰もいなかった。強いて言うなら男子1人階段で見たくらいだな。」
3人は天使の死神に会えなかった。
となると、別の人に協力を頼まなければならないか。
悩んでいた時、龍弥がにっと笑った。
「俺の仲間も呼ぼう」
「どうした?龍弥…いや、龍の逆鱗」

「頼みたい事がある、世界樹せかいじゅり人」
…世界樹の守り人?とか呼ばれたのは、
2年E組3番、小沢おざわ 竜樹たつきくん。
龍弥の中二病仲間らしく、よくなんだか分からない会話をしている。
「ほう、キミがボクに頼み事とは珍しい。」

「前に暴れ神を落ち着かせた借りを返すと思って引き受けてくれるとありがたい」

「ふふっその時は世話になったね」
……うん。会話がよく分からない。
結昂も博多も泗芫くんも頭に疑問符を浮かべている。

ただ、なんか「引き受けよう。」とか聞こえたから良いのかな、って思う。
……後から聞いたらちゃんと許可を貰ったそうだ。
とてもありがたい。
「今回ばかりはあの中二病に感謝ね」

「結昂、龍弥に当たりキツいよね…」
苦笑しつつ言うと、結昂はぷい、と顔を背けた。
ほっぺたが少し赤かった気がする。
……もしかして。と思ったけど、聞いたら後が怖いので聞くのは辞めた。

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