「ねぇ、都市伝説を解明するなら…
もっと都市伝説について調べないと。」
放課後、結昂と龍弥と帰り道にある自販機の前で話す。
都市伝説を全て解明するには、分からない事が山積みなのだ。
「そうねぇ…スマホで調べてもあんまり出てこないだろうし…」
「いや、そもそも俺も参加予定なのかよ…」
「当たり前でしょ、大ヒントの代償だと思いなさい」
「代償高えよ!!」
あはは、と軽く苦笑した後、私はまた話をし始める。
「でね、都市伝説とか沢山知ってそうな子いるじゃない?
その子に聞くってのは?」
「嫌よ、あの子話しかけにくいじゃない!」
2年E組43番、早水 流奈ちゃん。
オカルトが好きで、いつも、1人でオカルト関連の本を読んだり、なんだか怪しげなお守りを作って鞄につけたりしている。
おかげでクラスの人で流奈ちゃんに話しかける人は少ない。
でも、オカルトが好きな分、この学校の都市伝説にはきっと詳しい。
だから、流奈ちゃんを仲間にすればきっと何か分かるはずだ。
私はその考えを結昂と龍弥に伝える。
真っ先に反応したのは龍弥だった。
「なるほどな…
たしかに、そう考えれば俺らへのメリットは大きい。」
「私は反対だって!
あの子生理的に無理!」
「お前なかなか酷えな…」
「結昂ちゃん〜!そう言わずに〜…」
と、何とか言いくるめ、明日流奈ちゃんに都市伝説の事を聞いてみることにした。
「まず、第1に聞くのは…数とかか?」
「数なんてカレハさんも詳しく分からないんだから、流奈が知るワケ無いでしょ。」
「やっぱり…『天使の死神』と『人形少年』について聞くのが1番じゃないかな…?」
「だな、取り敢えず唯一分かってるのがそれだからな…」
「んじゃ、明日流奈に『天使の死神』と『人形少年』について聞き出すわよ。」
「おー!」
それからはただの雑談。
少ししたら辺りが暗くなってきたので、2人に手を降った後全員別々の道へと帰って行った。
*
次の日。
朝早くに集まって教室に入った私達は、鞄を置き流奈ちゃんの席に近づいた。
椅子に座ってやけに本を顔に近づけて読んでいた流奈ちゃんは、私達に気づいて首を傾げる。
「……何かご用でも…?」
「あのね、流奈ちゃん。
私達に協力してほしいの。」
突然言われ何がなんだか分からないのだろう、
流奈ちゃんは不思議そうに首を傾げた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。