一成side
びっくりしたなぁ…拓実くんから
抱きつかれて、しかも好きって言われたし…
何故かあの言葉が自分の中で響いてる。
酔っただけの勢いだと思うけど、
ドキドキしてしまった自分がいる。
ずっとその事が離れない。
汐恩くんに呼ばれてやっと我に返った。
汐恩くんが一瞬顔を歪ませる。
でもそれは本当に一瞬で、
そんな僕の声を最後まで聞かずに
汐恩くんは僕の部屋を出て行った。
そんな時携帯がなる。
瑠姫くんからだ。
どういう事だろう。
さっき汐恩くんが少し不機嫌だったことに
関係があるのかな。
面白半分で打ったようなメッセージ。
けど何故か汐恩くんのさっきの顔が忘れられなくて。
瑠姫くんがいきなりこんな事を送ってきた事にも
何か遠回しな意味があるのだろう。
まだ、僕には分からないけど。
僕は汐恩くんの部屋へ向かった。
さっき別れたばっかなのに迷惑かもだけど
汐恩くんの声が聞きたくなって。
汐恩くんは何故か僕が立っている後ろにいて。
next→
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!