第2話

恋など贅沢品
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2023/09/17 11:00
岩本side


アイドルになると決めてから、【恋愛】はしてはいけないものだと思っていた。それに俺を見てくれる人なんていなかったと思う。

ジャニーズに所属しているという肩書きだけで俺のことを知りもしない女の人達が近づいてきたけど、俺は全て跳ね除けてきた。

同級生達が恋愛に使う時間を、俺はレッスンなどに費やした。そのおかげで、今俺はSnowManという素晴らしいグループに所属できているんだと思う。

仲間が次々デビューしていったり、はたまた辛くてデビュー出来ないもどかしさから辞めていく人たちは少なくない。

それでも俺は諦めずに、今のメンバーたちでデビューを目指して必死だった。そのおかげでデビューが決まり、今テレビなどの仕事も増えに増えた。

CMをやらせてもらったり、冠番組まで持たせて貰えた。それは全て今までの努力が報われたからだとみんなで喜んだ。

努力するのは好きだ。結果がしっかりとついてくるから、その後も頑張ろうと思えるし力になってくれるから。

それなのに恋愛はどれだけ努力したとしても別れがついてくるものだと友達が言っていた。それなら何故するのは俺にはよく分からない。

今日も5人での雑誌撮影のため楽屋に入れば、4人が笑顔で出迎えてくれる。この4人と一緒にいれれば、今はいいかな。
ラウール
岩本くーん、おはようっ!!今日ペアなんだって!!最近なかったから嬉しい、よろしく!!
岩本照
おはよう、おぅ笑ちょっとお前落ち着け笑
阿部亮平
めめはドラマも大変でしょ??どうなの??
目黒蓮
んー…まぁまぁかな??笑
宮舘涼太
そういえばめめ女優さんとちょっと噂になってたね。大丈夫??何かあれば言いなよ??
目黒蓮
あぁ、あの人か…なんかベタベタしてきて気持ち悪いんだよなぁ…そんなに愛想良くしてるつもりもねーのにさ…
岩本照
まぁめめイケメンさんだしな笑
ラウール
でも、めめは僕のだからダメー!!笑
めめは最近ドラマや映画に俳優としての仕事が沢山増えてきた。それに伴って、女優さんとの熱愛の噂が後を絶たない。

本人はこんなにムカついてるんだけど、その女優さんとかはグイグイ来るらしい。俺には無いからまじで良かった。

ラウール以外の4人はさ、女の人が苦手な部類に入るんだよね。もちろん上手く付き合ってるつもりなんだけどさ。

めめは本当にイケメンさんだからさ、色んな人に言い寄られてムカつくってよく愚痴ってる。最近はその態度のせいで、冷酷王子って呼ばれちゃってるし。

本人は全然気にしてなさそうだけど、どこかで話聞いてあげたいなって思ってる。あんまり相談とかしてこないからさ。

5人でわちゃわちゃしていたら撮影に呼ばれたので、5人で撮影して2人と3人に分かれて撮影したらグループ仕事は終わり。

俺は今日番組撮影があったので皆と別れてマネージャーさんに送って貰って、1人で必死に撮影を頑張った。

思ったより夜遅くなってしまったけど、少し歩きたくてマネージャーと別れて家までの夜道を歩いていく。

帽子とサングラスをしても、ファンの人とかに岩本照じゃない?!とか言われてなんか凄い生きずらいなって思っちゃった。

自分が選んだ道なのにこんなに苦しいんだな。でもここでやめて、一般の仕事に就くのも出来ないしどうしよう。

そんな事を考えていたら、あのって声を掛けられた。まじか、ファンの人とかプライベートなのに声掛けてくるなんて最悪。

でもここは営業スマイル出さないとなと、振り返ってはいと声を掛ければこれって何やら物を差し出してきた。
岩本照
あ、えっとぉ……
深澤辰哉
あ、これ、落としましたよ??
岩本照
あっ、ありがとうございます!!俺の予備のサングラスです!!助かりましたっ!!
深澤辰哉
いえいえ…あ、ではこれで…
その人は男の人で俺にサングラスを渡してくれたと思ったら、ペコりと頭を下げて俺の横を通り過ぎていった。

俺一応お礼するのにサングラス取ったのにビックリもされなかったな。俺の事知らないのかな、でもそれが今はなんだか心地よかった。

俺をただの一般人だと思ってくれる人の方が今では少ないと思う。嬉しいことだけど、テレビをつければ何かしらにはSnowManは出ているから。

あの人テレビ見ない派の人なのかなって思いながらも、その人の背中を見つめてしまった。俺気持ち悪いと目線を下げた。

サングラスを外したことでやっぱりってファンの人達が声を上げ始めてしまったので、すぐにタクシーを捕まえて帰宅した。

さっき声をかけてくれた人みたいな人しかいない世界に一日でもいいから行きたい。そんなことを思いながら俺は今日もキラキラした芸能界を生きていく。

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