風花と笑い合って帰ったあの後、私は家で、誰にも言えない、言いたいけれど言えないあの事について考えていた
考えても悩んでも自分の気持ちに嘘はつけないのに、考えて悩んでしまう
母が呼ぶ
私の部屋は2階
何かある度に昇ったり降りたり
これが私には無駄な時間にしか思えない
この時間に何かできるんじゃないか、役立つことが
ずっとそう思い続けている
面倒くさそうに私は階段を降り、
またまた面倒くさそうに椅子を引いて座った
母は目の前に晩ごはんを置いてくれた
ご飯、超絶大盛りなんですけど!
こんなの食べられないに決まってるでしょ!
笑いながら答える
私達は笑い合った
母はいつも、私の事を考えてくれる
ご飯を大盛りにしたのは、食べさせて元気にしたいからではなく、きっと、大盛りを見せることで元気にしたかったのだろう
こんな母が、私は大好きだ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。