第19話

# じゅうきゅう
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2022/05/11 23:02



泣きそうになりながらも、必死に


「やめてください…」と伝えようとするのに声にならない。



どうしよう…。


怖くて、気持ち悪くて、涙が出てくると、後ろから「ヴッ…。」と苦しそうな声が聞こえた。





「おい、俺のに何してんだよ…。」





冷たい声が聞こえてくると、少し離れていたはずの颯太が、周りの人を掻き分けてすぐ隣に来てくれていた。



痴漢の腹を一発殴って、手首を捻り上げてている。





「あなた、次の駅で降りるよ?」





そう言って、私の涙を指で拭ってくれた颯太は、さっきの冷たい声ではなくとても優しい声をしていた。

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