「颯太!お弁当忘れてる。」
教室の入り口から颯太を呼ぶのは恥ずかしくて、そっと教室に入り込み、教室で楽しそうに恭平くんと話す颯太の傍に行く。
「ん?あー...」
私の手からお弁当を受け取り、眠そうに返事をする颯太。
「りがとう」
「は?」
「あーじゃなくてありがとうでしょ?」
「うっせぇ」
ちょっとお姉ちゃんっぽく言うと、明らかに不機嫌になる。
「うっざ」とか「うっせぇ」とか、今どきの男子だなぁ。
その言葉にイラっとしつつも、結局、子供っぽくて可愛く見えたりもし始めて私は完全にブラコン化しつつある。
「あのねぇ、仮にもお姉ちゃんなんですけど!?」
「数ヶ月の違いだろ?」
「文句あるなら1年くらい早く生まれてこればよかったのにね 笑 」
「…うっざ」
「あー!うざいとか言うんだ!!
じゃあお弁当返して」
「やだねー。取れるもんなら取ってみろよ。」
「はぁ!?取れるわけないじゃん!」
「文句あんなら1mくらい高く生まれてこればよかったのにな 笑 」
「ほんとうざい笑」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。