「あ…。」
お昼になって気がつく、私の鞄の中の2つのお弁当。
そういえば朝、颯太が起きるのが遅くて、忘れないように2つとも私の鞄に入れてたんだった。
私の分より少し大きいお弁当。
急いで届けないと颯太お弁当ないよね…!
「あれ?美玖2個も持ってきたの?
食いしん坊だなぁ。それか彼氏の分?」
姫が冷やかすように言うと、一瞬視線が私に集まった気がした。
「違うよ 笑 颯太の分渡すの忘れてた笑」
「なんだ、颯太か。」
「あ、そうだ!姫、颯太って何組?」
「え、知らないの?」
「え、うん。」
進級のときから姉弟だったら流石に知ってたけど、つい数日まで知らない人だったんだから知るわけもない。
結局、姫にクラスを教えてもらって、1人で向かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。