「あなた、帰るぞ?」
放課後、教室の扉から大きな声で私を呼ぶ声。
おかげで一気に視線が集まる。
あーあ、こえから毎日こうゆう生活になるんだろうな。
颯太と兄弟だという話は一気に学校中に駆け巡ると同時に、やっぱり付き合っているという噂も広まった。
「ごめん、帰ろっか。」
女子たちに睨まれたり、悪口を言われ始めているけど、颯太のせいではない。
颯太の前では笑顔で明るくしてないと心配かけてしまう。
「クレープ食べるんだろ?」
颯太に彼女がいることを言えば、睨まれたり悪口言われたりもないだろうけど…
颯太が言ってないなら、私の口からは言えないなぁ。
「付き合わせちゃったし、颯太の分も買ってあげるよ。」
「いらねぇよ 笑 」
学校から最寄りの駅までは冷たい視線。
でも、電車に乗って地元の駅まで行けば、隣で笑っている颯太以外の視線は感じない。
颯太いつも、こうゆう視線に耐えているのかな。
だとしたら、怖いだろうな。
いつもより進まない食事。
入ってこない周りの声。
ああ、私は怖いんだ。
明日学校に行けば、敵だらけになっていることが怖い。
また色んな視線が刺さるのが怖い。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!