でも実際、歌い手をやってみたいと思っても思い通りに行かなくて…。
私があの時眠ってしまった後
意識がなかなか戻らなくなってしまったらしい。
目が覚めたのは3日後、ICU室でだった。
そのあとはいつも通りこっぴどく叱られてキーボードが没収されてしまった。
でも一つだけいつもと違うことがあった。
それは
心配してくれる人が増えたことだった。
私が普通のいつもの部屋に戻れた日、
泣きながら抱きつく6つの影があった。
この人たちは全く悪くないのに
私があの時歌いたいってわがまま言ったせいなのかな?
重たい空気を打ち破るかのようにいつも以上に大きく明るい声で聞いてきた。
嬉しそうに頭を撫でてくる。
すると耳元で
って聞いてきた。
大きな声でそういった。
そこにいた全員の視線が集まる。
そう言って再び頭をぽんぽんする悠介さん。
今度は私が彼の耳元に近づき
私がこくりと頷き返すと、
すっごい満開の笑顔で笑ってくれた。
周りにお花でも咲きそうな、幸せそうな顔
普段私が浮かべる作られた顔ではなかった
それがすごく羨ましいと思った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。