第42話

不器用に①【宇髄天元】
9,646
2020/01/23 15:27
『わぁ…これ、宇髄さんがやってる…おお…』
洒落た店の中、一人うーんと唸り声を上げた
目の前には、色々な色の“ねいる”という物
『沢山種類あるもんだなぁ…』
宇「ヨッあなたじゃねえかぁ、こんな所に居るなんて派手に珍しいな」
『ウォアッ』
くそぅ、奇声を上げてしまった
宇「相変わらず変な声を上げるよな」
『いや急なんですってば、脅かすのがご趣味で?』
宇「ダッハハ派手に言うじゃねえか!」
190を越える巨躯を、こんな洒落た店で見るとは
しかし、今日は隊服を着ていない
まあ、私もだけど
『今日、非番なんですか?』
宇「ああ。お前も非番なんだろ?」
『はい!久しぶりに、女の子っぽい事をしようと思いまして』
ねいる を手に取って眺める
宇「…まあ、隊員である以上、普通の女子とは違うしな」
『あ、宇髄さんって ねいる してますよね?何色が良いとかありますか?』
すると宇髄さんは手を顎にあててまじまじと私を見た
『?』
宇「…こんなのとか派手に似合うんじゃねぇか??」
そう言って手に取ったのは、薄い白群色の ねいる
『おお…綺麗ですね!』
宇「ほら、瞳と同じ色してるだろ?」
宇髄さんが鏡の所まで私を連れていく
そして、目元に ねいる の瓶を近づけた
『わっ!凄い!本当!』
宇「だろ?この天元様に狂いはねえさ」
『有難うございます!私、これ買いますね!』
受け取ろうと手を伸ばすとヒョイっと瓶を上に上げられた


私の手は見事に空を切った
『え』
宇「派手に買ってやるぜ」
フッと笑って私の頭に手を置く
宇「俺がしてえんだよ」
『!…あ、有難うございます…』
化粧をしていない宇髄さんは、本当に美丈夫で店内に居る女性がメロメロだ
嫌でも、こんなことされてしまったら顔に熱が集まる
宇「…(可愛いやつ)」
『あの!何か、お礼がしたいです!』
すると宇髄さんは目を見開いて、にやりと笑った
宇「…じゃあ、今日一日俺に付き合え」
『はい!』
宇髄さんは おう と返事をして、他の所へ見て回る
『あ、そう言えば宇髄さんはこの店に何か買い物に来たんですか?』
宇「ああ、いつもの化粧品 使い切っちまって買いに来た」
『だからしてないんですね!してなくても相変わらず格好良いですけどね~』
宇「当たり前だろ??俺は華やかな男だからな
(やべぇ、にやける…)」
『なんかにやにやしてません?変な事言いました?』
宇「おらそんなこといいから、お前も選べよ」
グイッと引っ張られ、宇髄さんの身体に引き寄せられる
棚に目を移すと、沢山の化粧品が並べられていた
『わあ、たくさんある…』
宇「お前普段化粧してねえからなぁ…派手に勿体ない」
『え、何ですか今じゃ不細工だって事ですか』
宇「いややっぱ化粧すんなよ」
『手のひら返しが凄いんですけど…わ、このヤツ凄い鮮やかじゃないですか??』
一つの化粧品を手に取る
真ん中が透明で、中身が見えるようになっていた
宇「お、お前いいじゃねえか、よし派手に買うぜ」
『有難うございます!!ゴチです』
宇「おうおう、今日は派手に甘やかしてやるぞ」
『ええ!有難うございます~~~!』
宇「待ってろ」
そう言い残して宇髄さんはお会計を済ませに行った

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