第107話

【不死川実弥・玄弥】
3,569
2021/04/09 11:16
あなた
(やばいやつ、これ…)

ゆっくり傾く視界を他所に、バァンバァン!とけたたましい銃声が響いた。
不死川 玄弥
あなた!!
不死川 実弥
危ねェ!

実弥と玄弥が後ろから襲う鬼を斬る。
あなた
ゔわっ
不死川 玄弥
あっ!悪ぃ…!!
あなた
嘘でしょ…??
そこは受け止めてよ玄弥ァ!
不死川 実弥
何してんだァお前…
あなた
いやちょっとこちとら具合悪いんですけど…
不死川 玄弥
元気じゃんか
不死川 実弥
帰るか
あなた
この薄情兄弟ーッ!!

倒れてる私を置いて帰ろうとするか普通??
やべえよこの兄弟…
あなた
いーですよ、私は這いずって帰りますもんね

なんて冗談を抜かしているが、頭がガンガンと痛む。
あなた
(ふらつくな…)
不死川 玄弥
…ちゃんと掴まれよ

そう言うと玄弥は、私の身体を持ち上げて姫抱きをした。
あなた
えぇっ!??
不死川 実弥
ア゛ァ!!??
不死川 玄弥
な、なんだよ二人とも…
あなたがふらついてるから運ぶだけだよ
不死川 実弥
(先越されたァ…!!!!)

ガッチリした腕に、私がすっぽりと収まっている。
走ってきてくれたからなのか、心なしか玄弥の体温が高い気がする。
あなた
玄弥…も実弥も、走ってきてくれたの?
ありがとう………
不死川 実弥
なッ…!!
たまたま通りかかっただけで、べっ、別にお前が心配とかじゃねェ!!
不死川 玄弥
(兄ちゃんめっちゃ照れてるな…)
辛いだろ、寝てても大丈夫だけど…どうする?

ふと、ふわりと玄弥の匂いが香る。
あなた
(あ、いい匂いする………)
ね、る…………スヤァ

気付いたら既に私は眠りに落ちていた。












(no side)
不死川 玄弥
寝ちゃったね
不死川 実弥
あァ…目に隈なんか作りやがってよ…

スリ、と実弥が優しくあなたの目元を撫でる。
玄弥の腕の中で眠るあなたは、何だか苦しそうで。
2人とさほど変わらない背丈のあなたは、なぜだか凄く小さく見えた。
そよりと風が二人の頬を撫で付けて行く。
不死川 実弥
(本当なら奪い取って俺の腕の中に…っと、、したいところだが)…辛そうだから帰んぞ
不死川 玄弥
あ、うん…早く行こっか





玄弥は辛そうな顔を見て、自身の腕の中で眠るあなたをギュッと抱きしめ一歩踏み出し始める。
その二人の前を歩くのは、不器用だけど誰よりも優しい男の背中が二人を心配していた。


不死川 玄弥
あなたには伝わらなくてもいい
不死川 実弥
ただ、お前が知らなくても
不死川 玄弥
俺達は
不死川 実弥
お前が思ってるよりも、
ずっと、ずっと___


「「─── 秘かに貴女を想い続けるさ」」

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