※あなたちゃん、19歳、時柱!
伊黒→→→→→→あなた

宇｢おおっし、今日は柱で飲むぞ!｣

この宇髄さんの一言が始まりだった

藤の家紋の家で料理を出してもらって、大人達は酒を飲む

私はまだ未成年なので、ジュースを出してもらった

『たまには良いですね～! ね、伊黒さん?』

隣に座る伊黒さんに話しかけるが、返事がない

『伊黒さん?』

煉｢わっしょいわっしょい! よもや! ｣

煉獄さんももう既にお酒が回っている様だ

宇｢お～～い、伊黒ぉ、お前の愛しのあなたが呼んでるぞ～～｣

宇髄さんは酒豪らしく、顔は少し赤いが大丈夫な様だ

…なんだか、気になる事言ってた気がするけど

伊黒｢…! あなたか…? あなたが呼んでいるのか…!｣

伊黒さんはそう言うとぐるっと私の方に振り向いた

私を見た瞬間、ふにゃりと顔を綻ばせる

『あ、伊黒さん、なんか大丈夫ですか??』

顔が赤いし、何しろ呂律がいつもより回っていない

伊黒｢大丈夫だ、あなたが心配してくれたからな。…! そうだ、俺はいつも頑張っているから、あなた、甘やかしてくれ｣

そう言って伊黒さんは私に抱き着いてくる

『あ、エッ!!?? い、伊黒さん!!??』

前の席に居た蜜璃ちゃんがキャーーッと声をあげる

甘｢伊黒さんったらやっと踏み出せたのね! 大胆だわ～～～!｣

『え、踏み出せた? 何?! 』

し｢伊黒さんもお酒の力じゃないとダメなんですね…ふふ、あなたさんは気にしなくて良いんですよ｣

『え?! 何それ! 気になる…』

伊黒｢あなた! 胡蝶はいいから、俺を撫でてくれ…｣

私の手を掴んで頬に持っていき、すりすりと頬擦りをする

『ッ?!!! …伊黒さん、どうしたんですか…』

伊黒｢いいから、早く撫でてくれ…｣

催促されてしまい、そのまま手を頭に持って行った

撫でてあげると、目を細めて笑う

『…ンン(嬉しそうな匂いが凄い…!!)』

不｢あァ? なんだァ伊黒ォ、甘えたかァ｣

『…』

冨｢…!伊黒(やっとあなたに近づけて)嬉しそうだな…｣

『めちゃめちゃ鼻が…』

悲｢南無…よかったな…｣

『伊黒さんも疲れてますもんね』

宇｢だぁっはははは!! 派手に幸せそうな面しやがって!｣

目にかかりそうだった前髪を避けてあげると伊黒さんは閉じていた目を開けた

伊黒｢……｣(ｽｯ

伊黒さんの手が伸びてきたかと思うと後頭部に手が添えられた

『え? …んッ』

その瞬間、ちゅっ と鳴る音

『はえ、え?』

そのまま伊黒さんはぎゅっと私を抱き締める

『～～～～～～ッ???!!!』(ﾎﾞｯｯ

顔に熱が集まる

行き場の無い私の手がゆらゆらと揺れていた

し｢あらあら｣

煉｢む!! やるな伊黒!!｣

宇｢ﾋｭｰｰｯ｣

『ッい、伊黒さん?! 』

伊黒｢…ふふ、あなた…｣

私の髪を掬って、包帯が取れかかっている口に持っていく

私の髪に接吻を落として、柔らかく笑う伊黒さん

『っあ、伊黒さん…』

するりと私の頬に手を添えると伊黒さんは

伊黒｢…小芭内。小芭内と呼んでくれ｣

『ッあ、え、お、おばない、さん…』

きっと今、私からは湯気が出ているだろう

恥ずかしすぎる

でも、ぽかぽかして心地良い

伊黒｢ああ、そうだ、あなた。｣

名前を呼ばれ前を向くと、そこには左右で違う色の伊黒さんの瞳があった

伊黒｢やっぱりあなたは愛おしいな…俺はお前を好いている、あなたはどうなんだ?｣

甘い匂い、期待の匂い、そしてお酒の匂い

周りの皆は気を使ってくれたのか、普段通りに振る舞ってくれていた

『…っ…』

伊黒｢…嫌、だったのか…｣

『!! い、嫌じゃないです!! いぐ…小芭内さんが、良い、です…』

伊黒｢そうか…｣

そう言うと小芭内さんは立ち上がった

『…??』

伊黒｢…? あなたも行くぞ｣

手を引っ張られ、宴会の部屋を出た

『えっ、お、小芭内さん!?』

伊黒｢こっちだ｣

人気のない突き当たりの廊下に連れてかれた

『ッ』

伊黒｢…ずっとずっと好いていた、あなたのことが愛おしくて堪らない｣

包帯を中途半端に解いて、自分の唇を私の唇に押し付ける

『ん、ムッ』

伊黒｢…｣(ﾍﾞﾛ

『～～～ッ???!!!』

小芭内さんの舌が私の唇を割って口内に侵入してくる

『ん、お、ばないっ、さっ!』

名前を苦し紛れに呼ぶと、耳を塞がれた

『?!』

まるで音をこもらせる様に耳を塞ぐ

ぢゅる、と厭らしい音が頭に響く

『ッ』

伊黒｢…可愛いぞ、あなた｣

やっとの事で解放されて、顔を見ればうっとりとした表情を浮かべていた

『…』

伊黒｢顔が赤いが…大丈夫か?｣

酒に酔っているからかいつもよりコロコロと表情を変える彼に、私の目はもう奪われていた

『…小芭内さんの、せいですからね』

そう言った瞬間、私の目には彼の瞳が写っていた