第89話

手中【時透無一郎】
7,936
2020/05/14 00:59


『…』
「あなたちゃんってホント最低!」
「ありえないよね~」

急に何もしてないのに私が悪者になっていた
友達だってついこの前までは一緒に登下校してたのに
急に私を避けるようになった
席について教科書を机の中に入れようとすると、
『いたっ』
何かが手に刺さる痛み。
中を見てみたら、机の中のは大きめの画鋲が張り巡らされていた
『…っ』
手からはぷくりと赤い血が出てきている
とりあえず張り巡らされていた画鋲を取り外して、元あった位置に戻しておいた
『…』
誰がこんなこと始めたんだろう
何もしてないのに、机の中に画鋲付けられて、この間だって靴箱じゃなくてゴミ箱に上靴があったし…
私は涙をじんわり滲ませながら、保健室に向かった


『…居ないの…?』
保健室のドアには先生手書きの "今日は不在です!用は職員室に" と書かれた紙が貼られていた
「…あなた?どうしたの?」
後ろからかけられた声に驚き、後ろを振り返る
『…ッ無一郎…』
無一郎「ねえ、何かあったの?…もしかしてまた何かされた?」
優しい声音で私の顔を覗く
『…~~~~っ』
目が熱くなって、今にも涙が零れそうだ
無一郎「…されたんだね…とりあえず保健室に入ろう」
すると無一郎が鍵を開けて保健室の中に入って行った
私が立ちすくんでいると、
無一郎「入らないの?」
『…あぁ、うん、入るよ』
もうグズグズの鼻声で返事をする
無一郎「…指、怪我してる。そこ座って」
椅子に先導され、丸い椅子に腰をかける
無一郎「…どうして指怪我したの?」
『…机の中に、画鋲が貼ってあって』
無一郎「そっか…痛かったね」
無一郎は優しい手つきで私の指に絆創膏を巻き付けていく
無一郎「…ここにもある」
手をひっくり返して指の間にある傷を見つけると、素早く小さい絆創膏を貼った
『…ありがとう』
無一郎「あなた…泣きたい時は泣いていいんだよ?僕はあなたの味方だから」
ギュッと優しく、それでいて力強く抱きしめてくれる無一郎に、思わず弱音と涙が溢れた
『…ううっ…無一郎…もう…私…耐えられないよ…』
ボロボロとただただ流れる涙を無一郎が拭う
無一郎「…うん」
『なんで…ッ!なんで私が…?私は何もしてないのに…』
グズっと私の鼻をすする音が静かな保健室に響く
『ねぇ無一郎…!!無一郎しかもう居ないの…みんな私をいじめる…』
無一郎「…僕はずっとあなたのそばに居るよ。だから大丈夫…」
『うん、うん…!無一郎、無一郎は私のこと、避けないよね?』
涙でぐちゃぐちゃな顔を無一郎に向けると、無一郎は両手で私の顔を包んだ
無一郎「避けないし一人にしない。絶対…」
『うっ、うん…!!もう、私、無一郎がいてくれればいい…!ねえ無一郎、私から離れないで?』
グイッと私の頬に伝う涙を拭って、私を引き寄せて、そして抱きしめた
『ううっ…無一郎…!』
無一郎「辛いね…あなた、泣いていいんだよ」
『うっ…うわぁぁん!!無一郎…!ううっ…』
優しい手つきで背中をさすられ、思いっ切り泣いたせいかドッと眠気がくる
『んん…無一郎…』
無一郎「…あなた?寝ちゃダメだよ…」
私は無一郎の声を聞きながら、意識を手放して目を瞑った



無一郎「寝ちゃった…?ふふふ…可愛いあなた…

ほんっとに可愛い…大丈夫、僕がいるから…




大好きだよ、あなた…」
無一郎はニヤリと口角を上げて、腕の中に眠るあなたに軽く口付けを落とした



,,


彼女は、知らない
この悲劇は、全て仕組まれた事なんて知る由もない
この悲劇の脚本家が、

"唯一信頼している、時透無一郎"

だということを。


____ 全ては 時透無一郎 という男の手中である。








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今回無一郎で書いたのは、《孤立誘導型》です。
無一郎は、策士だと思うんですよね。
頭良いから。←
周りを利用して自分の価値を上げる…みたいな事やってそう。
おっふ…時透無一郎、恐るべし…!!
悲劇、というワードが出てGoogleで調べたんですよ。
なんか脚本家じゃなくてなんかこう…
デウス・エクス・マキナとかそんなカタカナ系を使おうと思ったんですが、知識がないので辞めました。😹
悲劇は、古代ギリシアに成立したそうです。
ウィキペディア便利。
もう全然課題終わらない。
ずっとこれ言ってる…
やってないだけなんですけどね☆☆☆☆
てへっ☆☆←


これを書いたのが AM 9:00 くらいだったんですが…
気付いたら AM 9:52 でした。
いつも悩まなければスイスイと1時間くらいでチャプターを書きあげてしまいます。
好きな物はとことん捗るタイプです私。
嫌なものはずっとかかりますね。
課題とか課題とか課題とか…
かれこれ2〜3週間はかかってる☆
早くやれってな!!!!
分かってるんです…やらないと後々大変だって…
でも…ッそれを上回る面倒くささが凄いですね。
課題なんて消えちゃえばいいのに、といつも思っています。
課題追加されちゃったのでピンチ!!!!
oh…勉強しなくちゃ!!!
嫌だッ!!!!(クソデカボイス)

皆さん…お互い頑張りましょう…



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