フワッと抱き寄せられ、強い風邪が吹き抜けた。
砂埃が舞い、思わず目を瞑る。
どこから現れたのか、宇髄さんは私達を見てずっとニヤニヤしている。
(ちょっと恥ずかしいんですけど……!!)
ずっと支えてもらうのも申し訳なくて、腕を押して立ち上がった。
音もなく私の隣にやってきた宇髄さんは、その腕を私の腰に回した。
二人が言い合いをしている間に、私は少しずつ回復の呼吸を始めていた。
その間も不死川さんと宇髄さんの言い合いは、ヒートアップしていた。
そんなに言い合いするか…………??(←原因)
だんだん落ち着きを取り戻してきて、脚に力が入る。
…私が知らない間にめちゃくちゃヒートアップしてない???
ヨシ!!
助けて貰って申し訳なさすぎるけど!!
置いていこう!!!
私はスルッと宇髄さんの腕をぬけて、踵を返して…
このまま帰る!!!よし、行くぞ!!!
そう一歩目を踏み出そうとして、出した右足は地面には届かなかった。
(筋肉を主張する)二人に肩を掴まれて、私の肩はミシミシと悲鳴をあげている。
──────
この後日、風柱と音柱と一緒に女性隊士が甘味処に入ったことが瞬く間に広がったらしい。
めでたしめでたし(?)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。