第80話

また①【伊黒小芭内】※死ネタ
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2020/04/27 06:43
鬼の始祖、鬼舞辻無惨が息絶えた。
『…はァッ…終わっ、た…』
ゲホッと咳をすれば、もうすぐ死ぬ と言わんばかりに血が吐き出される。
『伊黒、さん………』
愛する人の名前を呼びながら、フラフラになって歩き回る。
隠「あなたさん!!あまり歩かない方がよろしいです…!!」
『大丈夫……もうすぐ死ぬから……ねえ、伊黒さんは…伊黒さんに会いたい』
隠「蛇柱様ですか…!?こちらです!」
隠さんが連れて行ってくれた場所には、伊黒さんが私と同じ様に歩き回っていた。
伊黒「あなた…ッ…あなたは…?」
『…ッ伊黒、さん!!』
私が声をかければ、伊黒さんはグルンッとこちらを向いた。
伊黒「あなた…??生きてるのか…ッ?!あなた、あなた…ッ!!」
『伊黒さん…ッ!』
伊黒さんの方へ足を踏み出した瞬間、身体に力が入らなくなった。
力が入らなくなった私は、そのまま地面に倒れてしまった。
伊黒「あなた…ッ!!」
隠「あなたさん…!出血も多い上に、怪我がひどいんですから、!」
伊黒「俺も…そう永くない。すまないが二人きりにしてくれないか」
隠「は、はいっ…!!」(涙)
『ありがと…う、伊黒さん…』
隠さんは涙を流しながら二人きりにしてくれた。
伊黒「謝るな…俺もあなたと一緒にそっちヘいくさ」
『終わったんだね…嬉しいけど、心残りができちゃった…な』
伊黒「はは、俺もだ…あなたと結婚できなかったからな」
『ふふ、同じだ…』
伊黒「なああなた…もし、来世でまた会えたら」
『…ええ…待ってるから…』
伊黒「今度こそ俺と…」
『……』
伊黒「……あなた?あなた?…ッゲボッ!!」
私の意識は、もう無かった。
最後に聞こえたのは、愛する人が私の名前を呼ぶ声。
伊黒さん………また、来世で。






╴伊黒side ╴
伊黒「今度こそ俺と…」
“恋仲になって求婚を受けてくれるか”
その言葉は、あなたに届かなかった。
『……』
伊黒「…あなた?あなた?」
愛する人の名前を呼ぶと、俺は血を吐いた。
ああ…俺も もうそろそろ、行かなければ。
伊黒「…また、会えたら…必ず君に…伝えるから、な…」
そこで俺の意識は途切れ、あなたの生温い身体に身を預けて息を引き取った。

╴伊黒sideend ╴

໒꒱
暖かい日が差し込む。
その光は、愛し合った二人を包んで離さなかった。
二羽の鴉と一匹の白蛇は、
寄り添い合う二人の周りに花を添えて、
ずっとその場から離れなかったそうな。


二人の関係を思って添えた、その花の名は
ピンク色の サザンカ   永遠の愛 だった。

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