あの日のことは、今でも鮮明に覚えている。
それは、天気予報が大外れして
さっきまでの太陽が嘘かのように大雨が
降っていた時のことだった。
『 さいっあく … 』
もちろん、降水確率0%だなんてことを
朝のニュース番組で天気予報士が
ニコニコしながら言ってたもんだから
傘なんて持ってきているわけが無い。
そんな時だった。
君と出会ったのは。
「 あっ、あの … 」
『 … 私? 』
「 (大きく頷く) 」
「 か、傘 … 」
『 っあー … 苦笑
忘れちゃって … 』
「 よかったら … 僕のどうぞ 」
『 そんなんしたら、君が濡れるじゃん 』
「 美澄さんに風邪ひかれたら…困る 」
『 なんで、名前 … 』
「 べ、別に … 」
『 本当に、傘は大丈夫ですから。
そのうち、止むと思いますし、 』
私がそう言うと、今まで1度も
合わせようともしてくれなかった目を
私に向けて、君はこう言ったんだ。
「 っじゃあ、!相合傘しませんか … ? 」
あまりにも真剣に 相合傘をしよう と
誘ってくるからなんだか可笑しくて
自然と笑みが零れた。
『 … いいですよ、微笑 』
これが、私にとっての太陽
つまり、最愛の人 “ 高橋 恭平 ”
を好きになるきっかけだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。