第3話

3. 彼と月
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2021/07/23 23:00





  彼女を知ったのは、高校の入学式の日だった。


  友達が1人もいなかった僕は


  たくさんの人に押し流されて


  この広い校舎で迷子になっていた。


  そんな時、助けてくれたのが君だった。




  「 えっと … 大丈夫、? 」


  『 あ、はい … 』


  「 そうは見えなかったけど … 苦笑
    すごくキョロキョロしてたから 笑 」


  『 あっ … 』


  「 あー、ごめん急に話しかけちゃって。
    私、1年の美澄 あなた。君は? 」


  『 … 高橋 』


美澄「 笑 高橋くんね?何年何組? 」


  『 1年3組 … 』


美澄「 やっぱり同い年だ、笑」


  『 そう、ですね … 』


美澄「 私4組なの!近いから一緒に行こ! 」




  そう言いながら笑顔で僕の手を


  引いてくれた君に、もしかしたらこの時から


  特別な感情を抱いていたのかもしれない。














  これが、俺の事を傍で支えてくれる


  月のような存在。つまり、


  “ 美澄 あなた ” を好きになるきっかけだった。







  

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