第6話

>>4
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2020/11/30 10:05
俺らがこれから刑期を終えるまで収監される部屋,408号室。
部屋の中には2段ベッドが2つ。 その片方のベッドには、我が物顔で居座る青髪の少年_ころんとやらの姿があった。
さとみ(N417)
え……いや、え??
看守B
あら。U057 。どうされましたか。
ころん(U057)
ん~ ? 此処に部屋変更になったらしくてさ~…ごろごろしてたら 鍵空いたから 驚いちゃって w
さとみ(N417)
……あ , え , 同じ 部屋…って事か。
莉犬(N418)
え、同じ部屋!?やったじゃんっ!!✨
さとみ(N417)
……おう 。
ころん(U057)
……何 , 不服?ムスッ
何処か ムスッとした 表情を浮かべる 青髪の少年を見て、子供っぽいな、と少し笑ってしまった。
さとみ(N417)
…いや。構わねぇよ
莉犬(N418)
……大丈夫、仲良くしといて悪いことはないよ(ボソッ)
さとみ(N417)
ま、確かにな。(ボソッ)
なんて言って、ニシシッと怪しく笑っていると、 青髪の少年がまた訝しげにこちらを見ていたので、慌てて体制を整える。
さとみ(N417)
嗚呼、いや気にすんな笑
ころん(U057)
ん笑 え~っと…さとみくんだっけ?宜しくね?
さとみ(N417)
おう!えーっと…ころ…
ころん(U057)
ころん。呼び捨てでいいよ。宜しくね~
莉犬(N418)
俺も俺も!俺の名前は莉犬!
宜しくねころちゃん!!
ころん(U057)
ころちゃん……?wははっその呼び方久しぶりにされたかもw 宜しくね莉犬くん!w
看守A
よし。それでは俺らの任務はここまでだ。
刑期を終えるまで大人しくしているんだな。
さとみ(N417)
……ッチッ
看守達がぞろぞろと部屋から出ていき、ドアが閉まり、鍵が閉められた。
するといきなり、
莉犬(N418)
…俺2階希望!!
と莉犬が叫び、2段ベッドの2階に早足に登る。
ころん(U057)
え、僕も!!
とつられるように叫び、もう片方のベッドを 占領。
さとみ(N417)
……嗚呼もうわったよ俺下な。
落ちてくんなよ?ww
ころん(U057)
落ちないわww
莉犬(N418)
やったねころちゃん!!
今日からお世話になる 2段ベッドの下の階に 足を踏み入れ、そっと横になる。
上では 莉犬が ぎしぎしと転がり回る音が聞こえる。
右上からは ころんの ぎゃーぎゃー騒ぐ声が聞こえる。

ふっと笑みが零れた。
まだ俺が刑務所に 入る前の事を 思い出していた。

それは、雪の降る聖夜だった。





























さとみ
こら、騒ぐなってw ご飯だぞ~笑
︎︎
ほら、パパが困るから座りなさいw
足元で、小さな双子の子供が 走り回っている。
向かいの席には, 笑顔の綺麗な 大切な人が居る。
小さな子供達を抱き上げて、椅子に座らせる。
さとみ
はいほら、頂きます。
双子
頂きます!!✨
︎︎
頂きます。
まだ 双子は 4歳程の小さな命だった。
走り回るようになり、運動することが大好きな双子の姉妹は いつも 彼女や 俺に 抱き抱えられていた。

ふと彼女と目が合う。

“上手くやってよ”

“任せとけ”

そんな会話を目線だけで交し、クスリと両者ともに吹き出す。
小さな目が4つ、俺らを不思議そうな目で見つめていた。
︎︎
ねぇ、見て!雪降ってる~!
双子
雪!?✨
さとみ
おぉ、見に行くか?
双子
行く!✨
きゃっきゃと歓声をあげる子供達に上着を着せ, 抱き上げて庭へ出る。

雪はちらちらと 月の光に照らされて子供達に 降り注ぐ。
双子
すごぉぉ!✨
早速子供達は 俺と彼女の腕をすり抜け 雪遊びを始めた。
雪合戦やら, 雪だるまやら。

そんな様子を2人で 眺めていたところ、
小さな雪だるまを作り,子供達が近寄ってきた。
双子
見て!✨
こっちがパパで、こっちがママだよ!✨
少し大きく、眉毛がキリッとしている雪だるまと、葉っぱを頭に付けた雪だるまを 小さな手で支えながら、楽しそうに笑っている。
︎︎
んふふ、上手上手。
でもパパはもうちょっと太いかなぁw
さとみ
おい!ww
きゃっきゃと子供達は笑い、また 雪合戦をし始めた。
そんな様子を見ていると、何かが足元に飛んできた。

雪玉だった。
︎︎
…えいっ…w
小さな雪玉を手に 隣を向いた俺の顔面に雪玉をぶつけてくる。
さとみ
ゴフッ…ちょっおいw
軽く投げ返せばまた楽しそうに 投げ返してくる。
すると、双子の片割れが 自分で作った小さなかまくらに引っかかって転んだ。
︎︎
あやあや……大丈夫大丈夫~
驚いた様に立ち上がった彼女は泣き出した子供を抱え上げ, よしよしとあやしていた。
が、双子と言うのは 共鳴するのか 泣いていなかった方の 子供も ぎゃーぎゃーと泣き出した。

困ったように 俺が もう片方を 抱き上げ、2人で あやしていた。

すると、ふと目が合った。
大変だね,と 有難う, を含ませたような瞳で、 彼女は声を出さずに 俺に告げた

“ 大好き ” 。

クスッと笑った彼女は いつもの照れ隠しの 前髪を触る 癖を発動しながら、 またにへっと笑った。





泣き止んだまま眠りについた子供達を抱え、 月の輝く下で キスを交わした 俺らは 幸せで満ち溢れていた。





















こんなにも 小さく , 愛らしく , 大切な 命を 必ず守りきる と決めていた。


何があっても。
この命尽きるまで。















例え、罪を犯しても。


























その時、開くはずのない 玄関のドアが開いた。

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