看守さんに付いて行きながら 俺は考える。
ころちゃんの隣にいた女の子。何処かで見たことがあった気がする。
何か、俺と関係が…、?…駄目だ、思い出せない。
むむむ、と俺が唸っていたからだろうか、前を歩いていたジェル看守が振り向く。
その顔は悩みなんて何も無い陽気な雰囲気を纏う俺には眩しいものだった。
少しだけ目を逸らし、答える。
適当に口から出た言葉だったが、ジェルくんは納得してくれたらしく、少し歩くスピードを早めた。
俺の後ろでさとみくんところちゃんが戯れてる声が聞こえる。
さとみくんところちゃんはすっかり意気投合しちゃったらしく、いつもあーやって遊んでる。
な別に羨ましくはないけどなんだか楽しそうだな、なんて思っている。
いつもは後ろを振り向かないけど、今日はなんだか 気になってしまってふっと後ろを振り向いてしまった。
すると、俺を見るさとみくんと目が合った。
適当ににへへっと笑うと何かが肩にのしかかってきた。
そんな風にさとみくんは馬鹿みたいに笑って、ジェル看守の前に行こうとする。
するとジェルくんが両手を広げて通せんぼする。
そして後ろに追い返されて、さとみくんは俺の隣でプクッとほっぺを膨らませる。
、どうしても前に行きたいの,左右に動いてジェル看守を追い越そうとしているけれど、流石副看守長、動き素早くさとみくん行く手を封じている。
そんなこんなしているうちに、食堂に着いてしまった。
そんなこんなしているうちに、ころちゃんは カレーを持って席に付いている。
俺らもなにか取りに行こう…と思っていた時,ふと座っていたころちゃんに目をやる。
ころちゃんは色々な人に話しかけられていて、それを毎回面白おかしく返している。
ムードメーカーのころちゃんは誰かを笑わすことがとても上手だ。
今もほら、ころちゃんの周りに大きな輪っかが出来ている。
なんだかそんな、当たり前とも言える光景に,俺は少しだけ 物苦しい気持ちになるのだった。
昔から,人の蟠りは得意ではない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。