第15話

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2019/07/30 04:47
りかside
朝、五時に目が覚める。


目覚まし時計はセットしていない。


いつも五時に起きてるから、習慣づいてるのだ。


わたしは起きると、ランニングウエアに着替えた。


お年玉を貯めて買ったんだ。
りか
行ってきます
小声で呟くと、外へ走り出した。


朝の新鮮な空気が入ってきて、清々しい。


だからわたしは朝が好き。


いつものルートを走る。


六時に帰って来れるルートだ。


体力作りのために始めたランニング。


毎日欠かさずにやっている。


戻ってきた。


家の方へ行こうとして、慌てて松野家へ向かう。


危ない危ない。
りか
ただいま
みんなを起こさないように、小声で呟く。
チョロ松
チョロ松
おかえり
え?
りか
チョロ松
チョロ松は今起きてきたみたいだった。
りか
もしかして、起こしちゃった?
チョロ松
チョロ松
いや、そうじゃなくて。いつもこの時間走ってるの?
りか
うん
チョロ松
チョロ松
あのさ、僕も一緒に走っていい?
顔を背けて、チョロ松が言った。
りか
いいよ!あ、でも、五時起きだけど
チョロ松
チョロ松
だ、大丈夫だよ
りか
ホント?
チョロ松
チョロ松
うん──あ、その髪ゴム
りか
え?
チョロ松が目にとめたのは、わたしの付けている髪ゴム。


一応二人と区別するために、わたしはポニーテール、あなたはおさげにしてるんだ。


昨日はみんなをびっくりさせたくて、おろしてたんだ。
チョロ松
チョロ松
使ってくれてるの?
りか
うん。ありがと
チョロ松
チョロ松
えっ、そんな
りか
わたしは助かってるし
昔、わたし達三つ子は、よく間違えられた。


わたしはそれが嫌で仕方なかった。


わたしはわたし一人だから。


多分、二人も一緒の気持ちだったはず。


そんな時、チョロ松がこのオレンジ色の髪ゴムをくれたんだ。


とっても嬉しくて、ずっと付けている。
りか
ホントにありがと!
チョロ松
チョロ松
こ、こちらこそありがとう……!
顔を俯かせる。
チョロ松
チョロ松
あ、そ、そうだ!兄弟達起こさなきゃ!
りか
あ、わたしもあの二人、起こさなきゃ!
チョロ松
チョロ松
え?あの二人、起きないの?
りか
布団をひっくり返さないと、起きないよ〜
チョロ松
チョロ松
大変だね〜…
りか
そっちは、おそ松が手強そうですね
チョロ松
チョロ松
そうなんだよ!あいつのせいで何度遅刻しかけたことか……!
りか
あはは!
そんなことをだべりながら、あたし達はみんなを起こしていった。


…チョロ松は怒号を響かせながら。

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