まあ、正直いって、わたし達も動揺しているんだけどね…。
懐かしいな。
松野家に来るのは、小学校を卒業してから以来だから。
それは他の二人も同じようで。
階段を上る。
ここかな?
ふすまを開ける。
広さは、わたしの家のわたし達の部屋と同じくらい。
わたし達は着替え始める。
こなみは本を読みながら着替えている。
…大したもとだ。
着替え終わったわたし達は下へ降りた。
居間に入る。
六つ子の姿はなかった。
ふぅ。
どうやら、六つ子が降りてきたみたいだ。
部屋の外だとしても、誰が誰の声かがわかる。
スルッ
ふすまが開く。
変な声を出す六人。
そう。
六つ子が着ていた服は、一人一人色違いの真ん中に松のイラストが入ったパーカー。
お金がないから、無駄使いはできない。
服は着られなくなったら、安売りしている服を買う。
運動する姉さんは服の減りが早いが、こなみはいっつも家にいるから、服の減りはあんまない。
だから、服がそろった事はない。
名前だって。
六つ子は「〜松」って統一されているけど、わたし達は文字数も違う。
だから、同じって憧れるんだ。
今、トド松の言葉が、心に、グサッときましたで…。
たしかに、わたし達は女子力がない。
ハッキリ言って、トド松の方がある。
姉さんの服は、動きやすさ重視。短パンとか、タンクトップとか、スパッツだとか。
わたしの服は、アニメキャラのイメージカラーとか、マークとかが描かれた服(わかる人にはわかるって言うやつ)。
こなみは、なんでもいいって感じ。渡された服を着る。たとえそれが男ものだとしても構わない。
いや、ハッキリ言って、中学校の制服が人生初(だろう)スカートなんですよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。