宮床の様子がおかしかったのはこのときからだった気がする。
そう、俺が宮床の誘いを断っちまった翌日から。
宮床のことを悪く言うつもりはないが、、ヒーロー志望として、宮床の親父の殺人を見逃して良いわけがない。
しかし、証拠は会最の言葉だけ。
当の本人も、何か行動を起こすことを望んでいる訳ではなさそうだ。
むしかえして会最を傷つけるのも気が引ける。
宮床にも影響があるかもしれないし、、、
会最の話からすると、宮床のお父さんはヴィラン連合とも繋がっている可能性が高い。
アクションを起こすにも起こせねぇ状態って訳だ。
会最:轟、別にそんなこと考えなくて良いのに。
焦凍:えっ、、って、会最か。
会最:私がもし行動を起こすとしたら、それは一つ。
焦凍:なんだ、、、?
会最:宮床が悪に染まったその瞬間、、、私は宮床を敵と認識して、世間から排除する。
焦凍:っ!!
会最:まぁ、そろそろ危なそう、、だけどね。
焦凍:なんか知ってんのか?!教えてくれ、、クラスメイトが、同じヒーローを目指してる奴が、ヴィランにはなってほしくねぇんだ。
会最:本当、轟はお人好しっていうか。悪いけど、これは私の問題だから。私、もう決めてるの。もしなんらかの形で両親の仇がうてたら、どこか知らない国に行って、一人で暮らすの。、、、轟や八百万が文字とか計算とか教えてくれたから、私はそこで一から始めるんだ。個性もなるべく使わずに、世界最強としての会最月じゃなくて、お母さんとお父さんの子供としての会最月になるの。
焦凍:ぇ、、、
会最:それがいつになるか分からない。最初はつまらなかったけど、今はそれなりに毎日の生活が楽しいの。自分から仇をうちに行ったりしないよ、偶然、そんなチャンスがあったら、って話だから。
焦凍:、、、仇をうつっていうのは、、殺す、ってこと、か、、、?
会最:、、、、、さぁ。
焦凍:とぼけんじゃねぇ、もし「殺す」っていうんなら、俺は全力でお前を止めるぞ。
会最:だったら尚更言わないよ。轟には感謝してる。「殺す」って明言してる人を止めなかったって知られたら困るでしょ。
焦凍:それってつまり、
会最:私は何にも言ってないよ。「殺す」なんて一言も。轟は何も知らない、私はただの変なクラスメイトってだけでしょ?
焦凍:っ、
俺を突き放すな。
会最:私は個性で未来が分かる。私がよく使う未来を視る個性は簡単に変わる未来なの。その方が、楽しいから。私が仇をうつ日は、、遠くなさそうだね。
もう少しで、俺の前からいなくなるってことか?
会最:どこに行こうかなぁ。静かなところが良いな。人と関わるつもりはないし。あ、だったら、外国だと言葉通じないから、日本の田舎とか山奥とかでも良いかも。
最近薄くなってきたと思っていた壁は、本当は少しずつ厚くなってたのか。
会最:でも、やっぱり日本だと見つかっちゃうかもしれないなぁ。言葉通じないけど、そもそも話さないならどこだって関係ないか。
離れて行って、、、、ほしくない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!