第4話

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2021/03/07 14:01
虎杖悠仁side

「っしゃ、行くぞ!!!」

そう言って出発地点を飛び出そうとした時、
後ろから真希先輩にパーカーを掴まれた。

「まぁ、焦んなって。」


少し意地悪い顔。
でも余裕気な表情には楽しさが隠れていた。


『真正面。東堂君が突っ込んできてる。
西宮さんはホウキに乗ってる。後の生徒達は
皆団体行動だよ。東堂君の後に続いて真っ直ぐ来てる。』

はっと声がして、後ろを向けば神鳴先輩が
扇子を手に持ってぐっと考え込むような形を取り、座りこんでいた。

こんなにもサングラスが邪魔だと思ったことは無い。
今先輩がどんな表情をしているのか、
読み取りたいと、そう思った。


「くくくっ、真正面か。団体行動なんて珍しいな。」

真希先輩は顎に手を当てて、口角を上げた。

「やっぱり東堂には悠仁を当てて正解だったみたいだな」

パンダ先輩はうんうん、と頷き、
狗巻先輩と乙骨先輩はほっと安心した顔をしていた。

『西宮さん、空飛んでるからちょっと厄介だな。
私が引きずり降ろそうか??』

ぱんっ、と扇子を閉じた先輩は
先程の真希先輩と同じように口角を上げた。


「いや、良い。もう行くぞ。」


真希先輩がたんっと地面を蹴って走り始めた。

俺らも遅れをとるまいと走り出す。

その中で不思議に思ったことを、
隣を走る伏黒にぶつけてみた。

「なぁ、神鳴先輩っていつもあんな感じなの?」

俺に問いかけられた伏黒は怪訝そうな顔をして、

「俺も詳しくは知らない。だけど強いのは確かだと思う。」
















『み、皆はやぁい、』

考え事をしていると、
後ろから聞こえた神鳴先輩の声に驚いた。

さっきと全然違う……
オーラも何もかも違う。

近寄り難い雰囲気だった。
数分前まで話していた人は別人じゃないかと、
そう思ってしまうくらい。

でも今は、初めて会った時の神鳴先輩だ。









『虎杖くん!! 来るよ!!』


まだ、なよなよしい先輩のまま、
大きい怒号が飛んだ。

先輩の声ではっと我に返った俺は、
前から近づいてきた巨体に対して咄嗟に
受身を取った。


「いい反応だ。」




『グッドラック!! 虎杖くん!!』

先輩はぱっと手を挙げて振ってくれる。


「神鳴も居たか…まぁ良い。」

























































「どんな女がタイプだ!!」

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