第4話

落下したテクタイト
ドラゴンの手綱を操るのは、いつも運動神経の良いホヌの役目だ。孤児であったホヌは、早く自立し、自分だけの力で行きていけるようになりたいという思いと、親に守られることなく育ってきたという過酷な環境から、実生活で必要な一通りのことはできるのだった。
ホヌ
ホヌ
ああ、あれがクレーターですね。
ラナ
ラナ
わぁ……!
ぽっかりと地面に穴を開けたクレーターは、上空からだと余計に目立って見えた。
ホヌ
ホヌ
ふぅ、到着。
ラナさん。
危ないから、ちゃんとドラゴンが止まってから降りてくださいね。
ラナ
ラナ
えっ、ごめん。
もう、飛び降りちゃった……。
ホヌ
ホヌ
まったく……。
早く、落下してきた隕石を確かめたくて、ラナは小走りでクレーターへと向かった。
衝突時に隕石は粉々に砕け散ったようで、巨大な岩の塊はない。砂のなかから、目を凝らして探し出さなければならないようだ。
ラナ
ラナ
メラルド、起きて!
仕事だよ!
メラルド
メラルド
きゅるる……?
ラナ
ラナ
一緒に隕石を探して!
メラルド
メラルド
キュル!!
ホヌ
ホヌ
(こうなったら、ラナさんは数時間はマジックストーン探しに集中しちゃいそうだな。)
ホヌ
ホヌ
(助手の僕は、知識はあるけどラナさんほど採石は得意じゃないし……。)
ホヌ
ホヌ
(主人の健康管理は助手の役目。ラナさんが熱射病で倒れないよう、水分補給だけ気をつけていよう。)
ラナとメラルドは地面に這いつくばって、隕石を探し、ホヌはドラゴンのつくる日陰に待機しながら、時折みんなに水を飲ませるのだった。
ラナ
ラナ
ホヌ、あった!
ラナ
ラナ
テクタイト!
ラナ
ラナ
珍しいから、お金持ちのコレクターが欲しがるわ!
ホヌ
ホヌ
わぁ!
すごい……!!
真っ黒な炭のような色をしたテクタイトは、マジックストーンとしての活用法はまだ見出されていないが、マニアなコレクターが欲しがるのだ。
ホヌ
ホヌ
上々ですね、ラナさん!
ラナ
ラナ
うん!
次は洞窟に行くよ!
ホヌ
ホヌ
えっ、ちょっと休憩したほうが……。
ラナ
ラナ
いいから、行くよ!
ホヌ
ホヌ
(やれやれ、こうなった主人は誰にも止められない)
ふたたび、ドラゴンに乗って、クレーターからそれほど遠くはない洞窟に移動する。採石に関しては疲れ知らずのラナは、飛行中もまだかまだかと先を急いだ。

北の洞窟は、かつて採石が栄えた場所であったが、いまはあらかた目ぼしいものは取り尽くしてしまったらしく、人が寄りつかないひっそりとした場所だった。そんなところから、ほかの人がなかなか見つけだせないマジックストーンを見つけてしまうのが、ラナだ。彼女の職人としての腕はピカイチだった。

洞窟内はひんやりとしていて、ここが砂漠だということを忘れさせてくれる。
暗闇の中、キラキラと光るのはガーネットの灯り。指輪につけたマジックストーンは、持ち主の希望通り、十分な効力を発揮してくれた。
メラルド
メラルド
キュルル〜
ラナ
ラナ
メラルドの瞳が光ってる。
メラルド
メラルド
スンスンスンスン……
ラナ
ラナ
なにか珍しい石でも見つけたのかしら?
メラルド
メラルド
キュル!!
ラナの肩からぴょんっと飛びだし、メラルドは洞窟の奥へ駆けてゆく。