第7話

虚ろうマジックストーン
昼間の砂漠は、ダイアモンドよりも眩しい。

滞在期間わずか2日(正確には1日とちょっと)のオアシスを、荷物をまとめて出発した。長い旅路をホヌと2人で歩いてきた。何ヶ月も同じ街で商売するときもあれば、今回のように数日で場所を移す場合もある。

旅をしながらマジックストーンという、ときには高級品となる石を売っているのだ。

こういうときもある。
ラナ
ラナ
(ホヌが昨日たくさんマジックストーンを売ってくれたから、しばらくお金には困らないわね。)
ホヌ
ホヌ
今日もタイガーアイさん、いるといいですね。
ラナ
ラナ
そうね。
ドラゴン使いも日によって、商売する場所が違うから。まだいるといいわね。
メラルド
メラルド
キュル!
ホヌ
ホヌ
はははっ!
メラルド、くるみパイ頬張りすぎだぞ。
デストリアス
デストリアス
平民は呑気に笑っていられるものだな。
ホヌ
ホヌ
……!!
デストリアス
デストリアス
どうした、その顔は?
昨日のような威勢の良さを見せたらどうだ?
ラナ
ラナ
……!
ラナ
ラナ
卑怯者!
タイガーアイを離しなさい!
タイガーアイ
タイガーアイ
……くっ。
ラナさん、
俺っちのことはいいから、逃げてください!
デストリアス
デストリアス
ドラゴンを傷つけるのは重罪に値するが、ドラゴン使いを傷つけても大した罪にはならないからな。
ラナ
ラナ
……条件は?
デストリアス
デストリアス
ラナ、俺と一緒に来い。
デストリアス
デストリアス
俺は将来、王になる男だ。苦労はさせない。
ラナ
ラナ
……わかったわ。
タイガーアイ
タイガーアイ
だめだ。
ラナさん!
ホヌ
ホヌ
ラナさん、ほかに方法があるはずです!
ラナ
ラナ
ごめんなさい、ホヌ。
ホヌ
ホヌ
願いごとはどうしたんですか!?誰にも命じられることない、自由な商人でいることが夢なんでしょう?
ラナ
ラナ
ホヌ……
ラナ
ラナ
元気でね。
ホヌ
ホヌ
行っちゃだめだ!
ラナ
ラナ
2人には手出ししないで。
デストリアス
デストリアス
わかっているさ。俺は、約束は守る男だからな。
ホヌ
ホヌ
うおぉーーー!!
デストリアス
デストリアス
!!
ホヌ
ホヌ
ぐっ、離せ!
デストリアスに短剣で切りかかろうとしたホヌだったが、多勢に無勢。デストリアスの部下に取りおさえられてしまった。
ラナ
ラナ
やめて、ホヌには手を出さないって約束のはずよ!
デストリアス
デストリアス
おい、離してやれ。
デストリアス
デストリアス
ああ、そうか。
デストリアス
デストリアス
君は主人のマジックストーンを守る犬だったね。これは君にくれてやろう。
デストリアス
デストリアス
どうせこれからラナにはたくさん、石を探してもらうのだから。そんな庶民が使うような石ころじゃなく、大量殺戮兵器になるような石をね。
デストリアス
デストリアス
ああ、ドラゴン使いくん。ちょうどいいところにいた。俺たちをどこか遠くまで逃がしてくれないか?褒美ならたっぷりやろう。
デストリアス
デストリアス
じゃあな、石ころを守る番犬くん。
大型ドラゴンは、デストリアスとその部下たち、ラナ、タイガーアイを乗せて、空高く飛び立っていった。



広い砂漠では、ひとりの青年が麻袋に包まれた大量のマジックストーンを傍らに、ただただ果てしない空を仰いでいるのだった。