巨人の力が、私にもある?
そんな事…ある訳無い。
いや、信じたくない…。
ハンジさんにも、リヴァイさんにも
話していなかったのか…。
だからペンダントの事を知っていたのか?
それとも…お父様は自分からこの事を話したのか?
エルヴィンさんが、
お父様から聞いた話によると
ユミルが死後与えた子孫は九人。
でも…何故かそこで、全ての力を操る事が出来た
子孫がいたそうだ。
それが…ラインヴァイス家だった。
始祖の巨人、という巨人は
巨人を操る事が出来る。
だが…ラインヴァイス家が受け継いだ
巨人は、全ての力を持ち操作できる巨人だったそうだ。
九つの巨人…。
お父様が此処に来た事があるのは、本当なんだ。
なら、今エルヴィンさんが話した事も、か。
今更だが、頭が追い付いていない。
自分の正体もお父様の正体も
分からなくなってきた。
それに…巨人化って何だよ…。
何の為に私にペンダントを預けたのかさえも
分からなくなってきた。
今は従った方が良い。
自分より自分の事を…
理解している人に会ったのは初めてだ。
リヴァイさんは、溜め息をつきながら
私をエルヴィンさんから離した。
そしてまた、腕をがっちりと掴まれ
リヴァイさんの横に移動された。
私の頭の中は?で一杯だった。
どうしてリヴァイさんは
私を引っ張ってるんだ…?
リヴァイさんも、訓練所と言う所に
行ってくれるのだろうか?
リヴァイさんは静かにハンジさんを
叩くと何事も無かったかのように、
エルヴィンさんに話し掛けた。
ハンジさん、気にしてないみたいだが。
凄い音で叩かれ(殴られ)てたのに…。
私はもう一度、3人の関係性について
知りたくなった。
でも…一つは分かる。
お互い、信頼しあってるって事だ。
私にも…出来るのかな。
…
それから、少し離れた所に
私が通うのであろう、
訓練所と言われる所についた。
リヴァイさんをほんのちょっぴり
見直した所で、エルヴィンさんが
近くにいたある人を呼んだ。
背が高く、少し目付き…が怖い人。
キースと言われた男性は、ぎろっと私を見た。
その視線は、私の爪先から頭までじっくりと…
正直言うと…今までで一番怖い人かもしれない。
部外者を見るような目で見なくても、良いのでは?
エルヴィンさんは私に目をやり、
此方へ手招きした。
紹介されるのだろう…キースという人に。
ラインヴァイス、の説明しなかったのは
キースさんに話してはいけない事があるのだろうか。
今此処で聞くわけにもいかないし、また次だな。
私は言われた通り、敬礼をした。
認めてもらうには態度でしか表せない。
…私が、一番良く知っている事だ。
私はその後、立体起動装置と言われる
装置の基礎を習った。
腰に力を入れて、3分間バランスを取る。
まあ…簡単と言ってしまえば、簡単だった。
楽々突破してしまった私は
とても嬉しかった。この世界に来て、
出来る事は何もないと思っていたのに。
些細な事でも私にとって、本当に嬉しかった。
此処で訓練すると
相当な精神力と技術力が手に入る。
それを生かして…、私にも
何かやる事が、出来ると良いな…。
そう言えば、この服…。
さっきキース教官が渡してくれたが、
背中に剣が描いてある。
何て言うか、…
リヴァイさん達と同じ翼が良かったなんて、
誰にも言える訳、無いよなぁ…。
次回に続くё
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。