バタンッと開かれた扉には、先程来た兵士が居た。
とても焦ったような 走ってきたのか、汗が流れている。
エルヴィンも ナイルも驚いた顔をしていたが、
そんな事お構い無いに その兵士は喋りだした。
.
俺はそいつが言い終わる前に、部屋を飛び出した。
寄りによって 班に俺が居ない時に狙うとは…。
憲兵団への怒りと、何故エルヴィンの元へと来てしまったのか。
自分への怒りも 段々と込み上げてきて、廊下を走るスピードを上げていった。
…
急いで特別作戦班の 兵舎に戻り、あなたの姿を探した。
だが其処には、青ざめた顔の特別作戦班の4人しか居なかった。
唇を噛み締めながら 声を掛けてきた、グンタの肩を掴んだ。
八つ当たり…なんて、大人げない気もするが それ程俺は急いでいた。
あいつが、あなたが…いつ連れ去られるなんて 分かっていたはずなのに…。
「 何処に 」と聞く前に、後ろから馬の足音が音がした。
音がする方に振り返り 此方に向かってきている奴が誰なのか見た。
モブリットの声が微かに聞こえたから…あいつしか有り得ないだろう。
息が上がっているハンジの代わりに、モブリットが話始めた。
2人が連れ去られたと言う事は…ザックレーの仕業だろうか。
ならばあいつは王都、ウォール・シーナに居ると…?
軍法会議が今日行われるという意味なのか、他に理由があるのか。
出来事を整理しながら 頭を回転させながら、また馬に股がった。
息切れしているニファが持ってきた手紙を見ながら言った。
確か、審議所の地下は…地下牢があるはずだ。
2人が別の所に入れられてねぇ事を願うしか…。
一瞬だけ、脳にあなたの顔が過る。
何をしているのか されているのか、イメージするだけで背筋が凍るくらいだ。
呑気にエルヴィンの部屋に行っていた自分に、本当にムカつく。
無事なのを祈りながら、ハンジ達と会話出来るぐらいの距離で 馬を走らせた。
―あなたside―
薄暗い建物に 蝋燭の光だけが灯っている。
鉄格子の左右には、見張りが鉄砲のような物を持って立っていた。
私は 手首と足首を結ばれているし、
エレンさんは壁に ついている手錠を掛けられていて
要するに…全く身動きが取れない状況に居る。
はぁ…と溜め息をしているエレンさんを横目で見つつ、
気付かれないように 部屋を見渡してみた。
どちらかと言うと 檻のような、牢屋っぽい雰囲気だった。
鉄格子の外には 壁に掛けてある蝋燭と椅子が1つ。
此方から見える範囲にある物は、それだけのようだ。
目が覚めた時には既に 見張りが居るこの状態だったし…。
意識が無くなる前、ほんの少し『ユニコーン』のマークが見えた気がする。
此処に連れて来たのは 憲兵団の人達なのだろうか?
リヴァイさんは朝…何だか不機嫌だったから、話し掛ける事も出来なかった。
無理してでも声ぐらい、掛けて置けばよかったと後悔したけど…もう遅い。
何かしてしまったなら謝れば良かったなぁ、何て考えていた時
ガタッと物音がしたので 驚きながらも物音がした方を見た。
.
次回に続くё
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!