そこには…
怪訝そうな顔をした、リヴァイさんが
見張っていた兵士を 腕を掴みながら壁に叩き付けていた。
瞬きをしながら その光景を少しの間見ていると
もう2人の兵士が、カチャッと銃口をリヴァイさんに向けた。
支えている手は…私にも見えるぐらい、震えている。
それなのに リヴァイさんは動揺すらしていないようだった。
その冷静さに負けたのか 分からないけれど…
乾いた銃声の音の代わりに、金属が床に落ちる音がした。
鋭く光ったリヴァイさんの目は これまで見た事が無いぐらい、
…怖かった。
奥の方から全力で駆けてきた、ハンジさん。
状況把握が出来ずに 唖然としたまま固まっていると
ユニコーンマークが描かれているマントを羽織った、男性も走った来た。
そう言われて、ズキズキと体が痛む事に気付いた。
見ると…手錠を掛けられている場所が 少し赤くなっているのだ。
思えば起きた時から、ずっと動けなかったからなぁ…。
無理に見渡そうとしたのが 悪かったのだろうか?
なら と思い、足首に目をやると同じように掠り傷になっていた。
あはは…と苦笑いしそうになると、視線がある事に気が付いた。
嫌な予感がして 私は恐る恐るその方向を見てみる。
大体 誰なのか、予想はついてるけど…ね。
…
机には 消毒液、包帯、医療用のテープ…。
そして リヴァイさんが手に持っている 白色のハンカチ。
リヴァイさんの片手は、消毒液を塗っていて
手首をハンカチで ポンポンしてくれている。
コクコクと頷きながら 手当てされている手を見た。
私は元の世界でも、ハンカチなんて常備していない。
ましてや ティッシュも持っていない時だってある。
分かりやすく例えると、いつも絆創膏を持ってる子みたいな…
そんな中で 近くに居るのは久し振りだな~なんて考えている私。
リヴァイさんの 女子力の高さに感心しながらも、大人しく座っていた。
そう言うと、いつもの素っ気ない返事が 返ってくると思いきや
代わりに…包帯をくるくると 巻いていた手が止まった。
急に黙ってしまった、リヴァイさんの方を見ると
視線が私の目に 向けられていたのに気付いた。
何を言われるのかと思ったら、私への気遣いだった。
優しくされるのが とても嬉しくて痛みなんて飛んでいきそう。
リヴァイさんを安心させようとして、椅子から立ち上がった。
…いや、私は立ち上がったつもりだった。
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次回に続くё
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!