答えようとしたけれど、
本当に良いのだろうか?
この人は…信じていい人なのだろうか?
躊躇っているのを察したのか、呆れたように
ため息混じりの舌打ちをした。
行ってもいいのだろうか。
私は、壁に行けと言われただけ…
あの人は何か企んでいたのだろうか?
謎が多いこの状況で、
この人の誘いを断ったらこのまま…
此処を、さ迷うことになるのだろうか?
私はこの人についていくと決めた。
道を歩いていただけなのに、
こんな所で一生、さ迷うのは嫌だ。
それなら…此処が何処なのか知った方が良いと思った。
それに……
私は、顔も知らない人だけれど
あの人にペンダントを守れと言われた。
きっと、何かがある。
保証は無いけれど、あの人は…真剣だった。
何かが分かるまで、私はペンダントを守る。
今は…近くにいないけれど
私を育ててくれた人も大事そうに
ペンダントを持っていたから。
まず最初は、
此処が何処なのかを知らなくてはならない。
ある程度分かれば、推測くらい出来るはずだ。
出来れば…あまり喋りたくない…けど。
聞けるのならば聞いておいた方が良い…よな?
一つの言葉に気を付けながら聞けば、答えてくれるはず。
行く場所が分かれば、少しは安心できるから。
その一心で問うと、聞き慣れない名前が返って来た。
エルミハ区というのは、
町の名前なのだろうか。
でも、どうやってこの壁を…。
それっきり、会話も無くなってしまった
もっと聞ける事はあるのに…。
言い方に圧倒されて、それ以上何も言えなかった。
「エルミハ区」
名前からして…此処は日本じゃない。
前を走っている人の、つけている装置…
翼が描いてある、緑色のマント。
見た事がある、模様だった
思い出せない…。
どこで見た?いつ見た?
見覚えがあって、分からないなんて___。
考えている内に、
エルミハ区に着いたようだった。
その直後、眼鏡をした女の人が
私達の元へ走ってきた。
私は走ってきた人に問い掛けた。
なにか聞き出せるかもしれないから。
首をかしげながら、
私と一緒にいた人を交互に見た。
すると、何かに気付いたのか…
ハンジさんは私の肩に手を置いた。
リヴァイ、と言われる人は
明らかに嫌な顔をし、目を逸らした。
そんなに…私と喋るのが嫌なのだろうか。
というか何故、
ハンジさんは私が言おうとしたことを…。
リヴァイさんは、
諦めたようにして馬から降りた
そして、ハンジさんを睨んでから口を開いた。
丁寧にお辞儀をすると
少し満足げに見えたのは、気のせいだろうか。
ずっと、質問したかった事が分かったのは良かったが…。
今この世界を質問し難いし…、
もう少し経ってからにしようか。
馬に乗って、壁の前で突っ立っていれば
怪しいと感じるのは当然のはず。
何もされない事は無いだろうし…、
警戒しておいた方が良いのだろうか。
エルヴィン…?
また新しい人と会うのか。
それとも、私とは無関係か。どちらなんだろう?
リヴァイさんに腕を引っ張られ、
仕方なくまたついていった。
きっと、エルヴィンという人物に会いに行くのだろう。
無関係なんて考えた私が、馬鹿みたいだ…。
次回に続くё
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。