その日の放課後、家に帰った私は今日聞いた音楽を忘れられずにいた。
歌であんなに興奮を覚えたのは初めてで、またあの興奮を感じたい。そう思っていた。
1人で想像しながら笑う。
明日も話しかけてみよう。そう決めて寝る準備を始めた。
今日は朝一番に話しかけに行った。
ラッキーなことに華澄ちゃん達は違うクラスに行っていて、誰にも見られずに話すことができている。
そういう彼女はやっぱり少しだけ笑っていて、可愛かった。
好きなものを隠さず言える。
そんな音葉ちゃんの生き方が、かっこいいとまで思えてきた。
そして、また話したい。という感情が私の心にふつふつと沸き上がってくる。
華澄ちゃん達を気にせず、話したいな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!